興味・関心を相手に確信させる

③間接承認をつかう

優秀なリーダーがよく使っていたのが「間接承認」です。第三者を使って相手をほめる手法が「間接承認」です。

「手伝ってくれてありがとう」ではなくて、「先週人事部の面接を手伝ってくれたらしいね。人事の山田さんがあなたにすごく感謝していたよ。ありがとう」というように、第三者を使ってほめるのです。

「人事部の山田さん」を使って「あなたにすごく感謝していたよ、ありがとう」と第三者を経由して間接的にほめた方が相手を喜ばせるのです。

メンバーは「山田さん、私に感謝してくれていたんだ」「上司は私を見てくれていたんだ。ありがたいな」と喜びます。

そのテンションが上がった様子を見て、リーダーもハッピーです。「人事部の山田さん」と名前を出してもらった山田さんもハッピー。間接承認で3人がハッピーになるのです。

この「間接承認」はリーダーとメンバーの1on1で効果を発揮することが、39社の行動実験で判明しました。

1on1のスタート時に「よろしくお願いします」ではなくて、間接承認を使った感謝でスタートできれば、メンバーとの関係性もばっちり。

しかし、間接承認は準備が必要です。周りにヒアリングをしておくとか、他の人と1on1をするときに、対象者のネタを仕入れておくなどの準備です。

「私に興味・関心を持って見てくれていたんだ」と確信させることが、相手の心を開きますので、1対1の対話のときは「間接承認」が準備できれば最高です。

オンライン会議中の男性
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです

周囲を巻き込み、違いを見せるエースの「聴き方」

能力が高い人でも、自分一人で成果を出し続けることは難しくなっています。

不安定で変化が激しい現代では、個人の業務処理能力の高い人が成果を出しにくくなっています。

複雑な課題をスピーディーに解決するには組織の力が必要です。

各メンバーの強みと弱みを掛け合わせて、個人では解決できない問題を解決していく必要があるのです。

優秀な社員は、同僚や上司、ときにお客様を巻き込んで課題を解決していきます。

先日、大規模なオンラインセミナーでピンチがありました。

システム障害でセミナーが開催できないようだと開催2時間前に連絡が来ました。すぐにシステム部門に代替サービスを用意してもらい、営業担当に顧客への周知を依頼しました。

開始が遅れそうだったので顧客へ事前に質問したい内容を投稿しておいてもらいました。結局1時間遅れて開催したのですが、参加率はいつもよりも高く、参加者の満足度も高かったのです。

このように周囲を巻き込んだ後に“違い”を見せるのが優秀な社員です。

協力者一人ひとりに感謝とねぎらいの言葉を掛けるだけでなく、協力者の上司にもお礼を送っていたのです。

「山田さんの献身的な協力のおかげで、緊急開催できただけでなく顧客からの評価は前回比18%も上回りました。本当にありがとうございました」といった経緯と結果を明示して感謝を伝えていたのです。

このような対応をすれば、協力者も協力者の上司も嬉しいです。「巻込力」を発揮した後に、こうした感謝の言葉を送ることで自分も含めて三者をハッピーにして、「また協力したい」と思わせることで巻込力をさらに高めていたのです。