「こんな低偏差値校のために塾に通わせたわけじゃない」

このとき親が陥りやすいのは、いちどこのレースに足を踏み入れることで、少しでも偏差値の高い学校への合格が目的になり、子供を過度に追い詰めてしまうことです。

例えば、目標とする学校に受からなかった時にその結果を親が引きずり、「こんな学校に行くことになってしまった」とあからさまな言い方をする。進学することになった学校を否定することで、親子関係が悪くなったり、子供自身も否定的に捉えて自分には価値がないと思い込んだりすることにもなりかねません。

今回も2月1日からの試験で、5日間午前午後と受け続けるも落ち続けた受験生がいました。このままではまずいと5日の夜に急遽出願し6日に受験した学校に合格したものの、親は「こんな偏差値の低い学校に行くために塾に通っていたわけでない」と悲嘆にくれていたそうです。子供はその学校の先生と話して納得し、合格をくれた学校に進学することにしたそうですが、こうした親の対処は子供にダメージを与えてしまいます。

写真=iStock.com/bgblue
※写真はイメージです

実際、難関校の滑り止めとなった学校では、そんな心が傷ついた子供たちのメンタルケアから始めなければならないというぼやき声もしばしば聞かれます。

もちろん、正しい対処をする親もいます。難関校を目指して塾に通い始めたけれど、途中で子供の様子を見ながら学校研究を進め、偏差値だけではない受験校選びをして、結果的に子供にあった学校に進学できて満足しているという事例もあります。

この違いはやはり、親が何のための受験なのかを見失わない冷静さを持てるかどうか。学校の本質を見極め、子供の今時点での実力で受かりそうな学校の中から、上手に選んで受けていけるかどうかによって生じるものです。