塾業界が敷いたレースを走らされ、消耗する親子

筆者がこれまで200校以上の学校を取材して感じるのは、偏差値に囚われてしまうと、その学校の魅力を見落としてしまうことが多いということです。その結果、塾業界が敷いたレースを走らされ、消耗する親子がなんと多いことか。

そうした悲劇を繰り返さないためにも、トライして良かったという受験にするためのポイントを3つ挙げました。

① なんのために受験をするのか、ゴールを明確にし、そのゴール達成のために、わが家はどんなルートを選ぶのか子供と一緒に考えること。
② そのゴールに向けた学校研究を怠らないこと。
③ 受験に向かうのは子供。親はあくまでもサポーターであることを忘れない。

東大合格者など難関大学合格実績の高さを受験校選びの基準にする人は昔も今も多いですが、基準はそれだけではありません。時代が大きく変わり、基準も多様化しています。

中学受験において、最終的な学校選びは親の仕事になります。そのため、学歴社会を生きてきた親も意識をアップデートしていくことがきわめて重要です。自分の経験を基に、最新事情を学びもせず「この学校はレベルが低い」「偏差値上位の学校に行かなければ敗北だ」といった考え方を持つのはもう終わりにしなければなりません。

大事なのは、各学校の教育理念や育成しようとする生徒の人物像をしっかり把握し、子供を託したいと思える学校を選ぶこと。大学入試の半分以上が総合型選抜になっている今、子供との相性を見極めて賢い学校選びをしてほしいです。

勉強している子供の手
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです

参考までに筆者が主宰する親向けの受験講座に寄せられた実際の事例、現在、中1の3人の中学受験ストーリーを紹介します。いずれも親が賢明な判断をできたケースです。

一人目は、大手進学塾から洗足学園に進学した家庭。2つ上の兄が同じ塾から最難関校に合格して楽しそうに通学しているのを見て、自分も同じ塾に通うことにした女の子。頑張り屋で塾の勉強も手を抜かず、塾内のクラスは常に最上位を維持。小6の志望校別特訓も御三家を目指すクラスでしたが夏休みに突然、「クラスを辞めたい」と言い出したのです。

本人の心境は、「まわりの子との差が広がって、つらかった。それで、『辞めたい』と言うと先生からは頑張れば大丈夫だから諦めるなと引き止められたけれど、みんなライバルという環境の中でプレッシャーを感じながら通い続けるのは限界だった」と言います。

幸い、親は子供の意思を尊重し、クラス変更を認めました。娘さんは、「あの時もし、もったいないから続けなさいと言われていたら壊れていたかもしれない」と後で正直に語ったそうです。最終的に、「自分の第一志望校」に合格できて大満足しているそうです。