※本稿は、増淵敏之『韓国コンテンツはなぜ世界を席巻するのか』(徳間書店)の一部を再編集したものです。
全米デビューを果たした日本人アーティストの末路
もう少しK-POPの海外展開を詳しく見ていこう。日本では内需で音楽産業が賄えるので、無理に海外市場を意識しなかったというのが定説になっているが、実際にそうだったのだろうか。海外、とくに欧米で認められるというのは一種のステイタスという側面を持つ。セールスも大事だが、それ以上に欧米での認知はアーティストにとっては潜在的な欲求なのではないだろうか。
実際、坂本九の『上を向いて歩こう』(英タイトル『SUKIYAKI』)が、1963年6月15日付でビルボードチャートの「HOT100」週間1位を獲得して以降、何人もの日本人アーティストが全米デビューを果たしているが、ほとんど結果に結び付かなかった。英語が下手だとか、理由はいくつも挙げられていたが、現在でもBABYMETALやONE OK ROCKの活躍が目立つくらいで、韓国のような着実な実績をあげていない。
急激な成長を見せるアジアで日本だけが縮小
K-POPはアジア市場を牽引しているといっても過言ではない。
国際レコード産業連盟(IFPI)によれば、2020年ではアジア市場の伸びは前年比9.5%であるが、日本はマイナス2.1%の減少傾向だった。一方、韓国の売上成長率は前年比44.8%の増加だったことからもそれは証明されるだろう。
ちなみに、日本を除くとアジア市場は前年比29.9%増の急激な成長を見せている。アジア市場ではデジタルによる収益も収益総額の50%を超えるとされ、この点においても日本がビジネスモデルの転換ができていないことが浮き彫りになっている。