K-POPアーティストを主力企業が支援
K-POPはPSY以前にも、BoAやSE7EN、Wonder Girlsなどが北米進出を図ってきたが、期待ほどのセールスはあげられなかった。PSYと「カンナムスタイル」は、試行錯誤の末にようやく北米でK-POPを認知させた初めてのアーティストであり、楽曲だといえる。
また見逃せないのはサムスン、LG、ヒュンダイなどの韓国の主力企業が、国内外でK-POPアーティストを広告に起用したことだ。有名アーティストは複数社の公式パートナーを獲得している。また、K-POPアーティストの海外ライブもこれらの企業が協賛することが少なくない。加えて、韓国以外の企業が協賛する事例もある。これも一種の相乗効果だろう。K-POPと韓流ドラマの相乗効果とは違うステージでの相乗効果といえようか。
K-POPは日本を手本として追い抜いた
筆者は2013年に2度ソウルに行き、コンテンツ振興院や音楽企業にヒアリングを行ったことがある。印象深かったのは、DMCのCJ ENMを訪れたときのことであった。おそらく30代前半と思われるチーム長は、われわれに対して、ホワイトボードに日本のポップミュージックの歴史の概略を描いて説明し始めたのだ。彼は1970年代にシンガーソングライターが登場したことやバンドブームについても記載した。これにはたいへん驚かされた。
SMエンタテインメントの創業者イ・スマンが1990年代後半、組織的かつ戦略的なアイドル歌手の発掘・育成・宣伝体制を確立するために模索し、未成熟であった韓国のアイドル音楽市場の開拓を目指した。まず日本、その後はアメリカの成功事例をベンチマークにしたことはよく知られているし、エイベックスを参考に株式の上場を行った。現在は日韓の立場が逆転しているが、当初は日本をひとつのベンチマークにしていたことは明らかだ。