韓国はドラマの開始と同時にOSTが発売される
OSTの話に戻そう。韓国ではOSTが制作されないドラマはないといっていい。ドラマが開始されるとOSTのアルバムが発売される。日本とは違い、1話のなかでも数曲のOSTが制作され、ドラマを観終わった後もOSTを聴くことによって感動が再び、呼び起こされる。韓国ドラマの魅力のひとつに、このOSTとドラマの展開がマッチして効果をあげている点が指摘される。
例えば、大ヒットドラマ『愛の不時着』にも何曲ものOSTが登場するが、とくにペク・イリョンの歌う「Here I Am Again」は印象的で、ヒョンビンとソン・イェジンのツーショットを想起するファンも多いことだろう。『梨泰院クラス』では、Gahoの「はじまり」がOSTの代表的な曲で、パク・ソジュン演じるパク・セロイの純粋に生きるさまをイメージすることができ、その力強さから、前にひたむきに進むというメッセージソングにもなった。
また、人生の不条理を抱える中年の3兄弟と、若くして借財を背負い、身体の不自由な祖母の面倒を見るIU演じるイ・ジアンがお互いを癒やしていく物語の『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』だが、この作品ではエンディングに流れるSondiaのバラード「大人」がドラマをさらに印象的なものにしている。IUもライブなどでこの曲を歌っている。
2週間で1800万再生を記録したOSTも
2021年の話題作のひとつでもあった『その年、私たちは』は、『梨泰院クラス』のキム・ダミ、『パラサイト』のチェ・ウシクの共演でも注目されたが、この作品のOSTであるBTSのVが歌う「Christmas Tree」は、MVの再生回数がわずか2週間で1800万回を超え、Melonでは、発売後72日間連続でTOP100にチャートインした。
また、この曲は韓国のOSTとしては初めてアメリカ・ビルボードのメインシングルチャート「HOT100」にランクインした。初登場は79位であった。ちなみにBTSのメンバーのうち、ソロで同チャートにランクインしたのはJ-HOPE、SUGAに続きVが3人目となり、ソロでもBTSメンバーの活躍はワールドワイドなものになっている。
韓国では、日本に比べて音楽ビジネスのあり方に独自性が見られる。CDが主体ではなく、あくまでサブスクリプションに軸足が置かれ、ドラマなどの映像メディアとの距離も近い。
今後はこの枠組みにほかのコンテンツも混合していくのだろうか。