こまめな雑談が女性の意識を前向きにする

では上司は、どうすれば女性部下にライフイベントがあっても、スムーズにマネジメントすることができるのでしょうか。一番大切なのは、普段からきっちりコミュニケーションが取れているかどうかです。「女性はこういうものだ」というアンコンシャス・バイアスを意図的に排除し、正式な査定面談でもそれ以外でも、将来のキャリアについてきちんと話ができていることが大切なのです。

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男性部下であれば、飲み会や喫煙ルームなどで、将来管理職になることを踏まえ、多くの上司の方は「○○君も、そろそろ昇進を視野に入れて、こういうことをやっておいたらどうだ」といった話をしてきたはずです。ただ女性に対しては前述の「いつかマミートラックに入るから」「子持ちの女性は管理職につきたがらないから」というバイアスから、無意識にそれをしない上司がいます。

例えば営業職であれば、営業スキルについては男性と同じように指導する。けれども、そこから営業マネジメント職として男性と同じように、どんどん上がっていくことは、あまり想定していない。女性総合職自体が、まだ数として少ない企業だと、今まで男性にしか真剣に指導したことがなく、女性に対してはどう接していいか戸惑いがあり、日常的に話しかけにくいという上司の方もいるでしょう。これでは悪気はなくても、マイノリティである女性からしたら「あまり期待されてない」と思われても仕方ありません。

育児を応援するのではなくキャリアの応援を

こういったマネジメントを続けていると、もともと強いキャリア志向を持つ女性以外は、優秀でもゆるく働くほうに引っ張られてしまうかもしれません。同時期に出産した同僚が、皆時短にすると言えば、不安が強く迷っている女性もそちらに流れてしまいがちです。

よく「2:6:2の法則」などといわれますが、2割がいわゆる強いキャリア志向の女性、2割が家庭中心で長くゆるく働きたい志向の女性とすると、次世代インクルーシブリーダーとしては、真ん中にいて、どちらにもいきそうな6割の女性たちをできる限り、キャリアの方向に引っ張っていく意識を持って接することが大切になってくると思います。

育休からの早期復帰制度をいち早く取り入れた、ダイキン工業の野間友惠人事本部人事企画グループ長(部長)の言葉を借りれば、企業は「女性の育児を応援するのではなく、キャリアを応援する」べきなのです。そのためには制度があればいいというものではなく、その制度の賢い運用が必須になってくるのです。