気合いと根性の「昭和マネジメント」は通用しない
もはや、昭和の時代の気合いと根性と飲みニケーションによるマネジメントを実践している人は絶滅危惧種だと思われるが、それに代わるマネジメント手法が社会に定着しているとも思えない。
もっとも、昭和の時代でさえ、気合いと根性と飲みニケーションによるマネジメントは、営業部門を中心に人事や労務などでは見られたが、製造や製品開発などいわゆる技術系職種では、それほど見られたわけではなかった。
それは、昭和の時代では、営業などの事務系職種の多くが、時間さえかければ一定の成果を上げられた、という時代背景がある。一方、技術職などでは一定の知識スキルや資格が必要であり、時間をかければ誰でも一定の成果を上げられるというわけではなかった。
現在では、営業といっても市場分析や顧客提案など、知識やスキル、経験が必要なことも多く、気合いと根性と飲みニケーションで成果を上げられるとは限らなくなっている。
では、気合いと根性と飲みニケーションに変わるマネジメント手法の一般解が定着したかというとそうでもないようだ。
システム開発の領域で確立されている「マネジメント手法」
一般的には、ほとんど知られていないと思われるが、システム開発の領域では、プロジェクトマネジメントが体系的に整理されている。
それは、PMBOK(Project Management Body of Knowledge、「ピンボック」と読む)と言われるもので、米国プロジェクトマネジメント学会のホワイトペーパーとして1987年に発表され、書籍としては1996年に出版された。
その後、2017年の第6版まで改訂が進められ、2021年には第7版が発表された。
プロジェクトマネジメントの資格には、情報処理推進機構(IPA)が実施している情報処理技術者のなかにプロジェクトマネージャ試験があり、合格率は累計で12%程度と難易度が高いが、累計受験者数は40万人以上、累計の合格者数は約3万人となっている。
大手のSIerでは、プロジェクトマネージャのようなIPAの高度資格を保有していることは当たり前になっており、例えば少し古いが野村総合研究所(NRI)の統合レポート2016では、NRI単体従業員5979名の約12%にあたる743名がプロジェクトマネージャの資格を保有している。
また、米国のProject Management Institute, Inc(PMI)という団体が運営しているPMP(Project Management Professional)資格は、全世界で約150万人、日本でも約4.6万人が保有しており、システム開発の分野では資格として確立している。