日常の仕事にも適用できるPMBOK

システム開発におけるPMBOKには2017年に発表された第6版と2021年に発表された第7版があり、その内容は大きく違うが、システム開発以外にも適用できるような汎用性がある。

PMBOK第6版は、5つのプロセス群と10の知識エリアで整理されている。

■5つのプロセス群
①立ち上げ
②計画
③実行
④監視・コントロール
⑤終結

プロジェクトは、立ち上げられて、計画され、実行される。計画や実行段階では一定の監視やコントロールが行われて、所定の成果が得られればプロジェクトは終結する。

システム開発のようなプロジェクトでなくても、日常の仕事にもPMBOKは適用できる。

例えば、経理のようなルーチン業務の多い仕事であっても、仕事がずっと継続しているため「立ち上げ」と「終結」がないだけで、日々、「計画」「実行」「監視・コントロール」のプロセスが動いている。

■10の知識エリア
①統合管理
②スコープ(作業範囲)管理
③スケジュール管理
④コスト管理
⑤品質管理
⑥資源(ヒト・モノ・設備)管理
⑦コミュニケーション(会議や連絡方法など)管理
⑧リスク管理
⑨調達管理
⑩ステークホルダー管理

10の知識エリアの項目を見ると、一見普通の項目が並んでいるように見える。それはその通りで、仕事のマネジメントに関する共通項をまとめたものがPMBOKだからだ。

しかし、こうした項目を意識しながら仕事を進めていることは意外と少ない。

これらの5つのプロセスと10の知識エリアをマトリックスにすると図表1のようになる。

【図表1】5つのプロセスと10の知識エリアの関係
図表=筆者作成

本項では、PMBOK第6版の詳細はこれ以上説明しないが、仕事を立ち上げ→計画→実行→監視・コントロール→終結というプロセスで捉え、スコープ管理、スケジュール管理、コスト管理、品質管理、コミュニケーション管理、リスク管理などプロセスごとにやるべきことが明確になっている枠組みは、非常に良く整理されているので、是非勉強して、出来るところから実践してみてほしい。

人材のギャップを埋めるために生まれた「日本独自の知識体系」

PMBOK第6版はシステム開発だけではなく、一般的なプロジェクトマネジメントにも十分適用可能だが、システム開発に関しては、日本独自の知識体系として「共通フレーム2013」というものがある。

日本ではシステムを発注するユーザー企業にはIT技術者があまりおらず、システム開発を受注するSIerに技術者が偏在している。

この人材のギャップはそのままコミュニケーションのギャップとなって、システム開発の阻害要因となっているため、「関係する人々が『同じ言葉で話す』ことができるようにするため」に、IPAが日本独自の作法としてとりまとめたものだ。