システム開発以外の場面でも応用できる
詳細は割愛するが、共通フレームで最も大切なのは、以下の3点だろう。
1点目は「多段階の見積もり方式」という部分だ。一定規模以上のシステム開発では、計画時点で1回だけ見積もりを取って発注することは、発注側・受注側双方にリスクがある。
そのため、計画段階で1回目の見積もりを行い、それは概算見積もりまたは仮試算として、計画、要件定義とプロセスが進んでいくなかで、複数回の見積もりを行い、設計に入る段階で金額を確定させる、というやり方だ。
こうしたやり方は、システム開発だけではなく、計画時点では全体像がはっきりしていないことが多い広告宣伝やマーケティング、製品開発といった様々な場面にも応用できる。
2点目は、「超上流工程での準委任契約の採用を」という部分だ。ユーザー企業は既にシステムの仕様検討すらできない状況が多いので、受注企業にとっては何をどう見積もればいいかがわからない場合がある。こうした不明確さは発注側、受注側双方にとって、本当に実現できるかどうか分からない、コストが当初見積もりよりも大きく上回るといったリスクに繋がるため、その超上流工程については、システム開発本体とは別に準委任契約で発注しましょう、ということだ。
こうした専門性の高い業務を、準委任契約で外部委託することは、システム開発の分野以外でももっと広がっても良いはずだ。
3点目は、「要件の合意及び変更ルールの事前確立」だ。もめているシステム開発では、そもそものシステム開発の要件で合意していたかどうか、変更した部分をどう扱うかが争われることが多く、それをあらかじめルールにしておきましょう、ということだ。
契約内容でもめるのはシステム開発だけではないため、一般的な仕事でも記録を残しておくメリットは大きい。
このように、システム開発以外にも応用できることは多い。
システム開発ではプロフェッショナルの集団を前提としている
マネジメント経験の長い人はもう気づいていると思うが、ここまで説明してきたPMBOK第6版も共通フレーム2013も、実は人に対する視点があまりない。
システム開発の世界では、一定の知識・スキルを持っている人がプロジェクトに参加していることが前提となっており、それぞれの仕事は指示をすれば必ずできるし、何のためにその仕事をやるのかという説明も基本的にはいらない。
システム開発の領域でのプロジェクトは、プロフェッショナルの集団を前提としているわけだ。