グローバル資本主義は10年以内に崩壊する
【森永卓郎】2つ目の罪は、とてつもない格差を生み出したことです。
今、地球上に住んでいる人は約76億人と言われています。これを所得の順に並べて下から半分の約38億人が持つ金融資産は約153兆円。これは、上位26人が持つ金融資産の額と同じです。
この上位26人は額に汗して働いてはいません。金が金を生むしくみを利用し、巨万の富を得ているのです。その一方で、地球上では貧困が拡大しています。こういう状況はもはや限界に達していると思います。
3つ目は最大の罪だと思いますが、グローバル資本主義が仕事の楽しさを奪ったことです。
OECD諸国の中で、日本の生産性がぶっちぎりで最下位ということで、みんな生産性を上げようとしています。
ただ、生産性を上げ、所得を上げた結果、誰もが面白くない仕事を強いられるのです。
私がアナリストとして経済をずっと見てきた経験から確信しているのですが、生産性と仕事の楽しさは逆相関の関係にあります。
つまり、生産性を高めれば高めるほど、仕事はつまらなくなっていくのです。
こうしたグローバル資本主義の弊害がどんどん大きくなり、これを止めようという動きが加速している。日本人は大人しいので、あまりデモやストライキをしませんが、世界ではグローバル資本主義に反旗を翻す若者たちが増えています。
私はグローバル資本主義が10年以内に崩壊する可能性はきわめて高いと思います。