1号店オープンはセブン‐イレブンより2年も早い

導入にあたっては英国の大手小売業に学んだ。

1999~2000年に複数の社員を英国に派遣してテスコやセインズベリーのカード戦略を研究。顧客管理とデータ分析を専門に手がけるロイヤリティマーケティング部を設置し、顧客の変化に対応した販売戦略を展開してきた。現在は企画本部が分析を担当する。

コンビニ業界はセブン‐イレブン・ジャパンの模倣が多いと言われる。だが、セコマには海外に学ぶ遺伝子がある。付け加えるならセイコーマートの1号店は1971年でセブン‐イレブンより2年早い。1976年に全米コンビニエンスストア協会(NACS)、翌77年にはオランダの国際SPAR(スパー)本部に加盟。店づくりや商品開発で海外の先進情報をフル活用してきた。

SPAR本部はもともとオランダの中小の小売店が食料品や雑貨などを共同で仕入れるために設立され,欧州を中心に世界展開するボランタリーチェーン。セイコーマートが地区本部「北海道スパー」を1979年に設立し,加盟店の募集と店舗の運営指導を始めた。この関係は2016年に終わるものの、プライベートブランド(PB、セコマでは「リテールブランド」と呼ぶ)に力を入れる必要性も学んだ。

「ワイン年間400万本」PBにかけるこだわりがある

リテールブランド商品は1000SKU(商品の最小管理単位=品目)ほどあり、年間9億品目を売っている。これは店舗売り上げの5割以上(タバコを除く)になる。

セイコーマートの売り場は大手に比べると酒類の扱いも多い。特にワインが目を引く。1986年に直輸入を開始して以来、テレビCMやポスターなどを自ら制作して年間400万本のワインを売る。中でも一番の売れ筋がチリワインの「G7」。2009年から販売量を増やし続け累計1200万本を突破している。

撮影=本田匡
ワインの種類が豊富な酒類コーナー

当初は売れなくてもじっくり育てていくのがセコマ流だ。

丸谷智保会長は「『あの店は牛乳がおいしいから買いに行きたい』とか『お手頃な価格でおいしいワインが買える』とはっきりした商品に対する意識を持ってセイコーマートの店へ足を運んでくれる。行く途中にほかのコンビニがあっても、そこを通り越して行かないと買えない商品がブランド。これを長く育てるという意味ではリテーラーが自ら開発していくべきだ。だからPBは安くて売れるから出したいとか、ナショナルブランド(NB)商品をコピーして少しでも安く出したいといった考え方ではなく、リテーラー自身が育成して企業の顔になっていく商品だ」と話す。