2024年時点で14歳以下の「α世代」はどんな行動特性を持っているのか。インテージ生活者研究センターの小林春佳さんは「α世代の情報源はYouTubeが一般的になっている。お買い物に関するインタビューで『実際に購入したものは、どのように知ったか』を聞くと、YouTubeの実況動画を見た、と答える人がほとんどだった」という――。

※本稿は、小々馬敦『新消費をつくるα世代』(日経BP)の一部を再編集したものです。

「YouTubeの実況動画」で欲しくなる

21年12月と22年4月に、α世代の日々の購買に関する情報接触と消費の実態把握を目的として、α世代の男女14人にオンラインインタビューを行いました。

α世代の情報源は、友人との会話が第一、そして第二の情報源として出てくるのはYouTubeでした。インタビューで「ほしいと思った物があるとき、それについてどうやって調べるか」を聞くと、特に気になったおもちゃやゲームの詳細は、YouTubeの実況動画をみる、と答える人がほとんどでした。

また、YouTubeの利用が日常となったことで、家庭で利用制限が必要なものは「テレビ(動画配信サービスを含む)」「ゲーム」に加え「YouTube」の3つに増えているご家庭もありました。家庭では、使用時間の制限に加えて、コンテンツ制限も行います。年齢に応じた動画のみを視聴可能に設定したり、時には保護者が動画をチェックして保護者自身が制限したりします。

制限の理由には、「勉強や習い事がおろそかになるから」ばかりでなく、際限なく新しいコンテンツが出現し続ける“おすすめ/リコメンド機能”を要因とした「時間制限が効かず、長時間視聴による視力低下」や「親が確認できないコンテンツが増え、子どもの行動を把握しきれなくなる」といった回答もあり、新たな心配事が増えている状況です。

一方で、Z世代の第一の情報源はInstagramです。そしてZ世代も第二の情報源としてYouTubeを挙げる人が多く、動画メディアが購買にも影響を与え得る主要メディアであることが分かります。X(旧Twitter)を情報収集目的で使用しているというZ世代の声も多く聞かれました。

5400人の「利用デバイス」「コンテンツ視聴時間」を調査

利用するデバイスやコンテンツによって、得られる情報は異なります。α世代は幼少期から複数デバイスを利用できる環境にいることで、自身の興味関心に応じた情報の取捨選択や時間の使い方を、より能動的に考えて成長してきたのではないかと考えられます。私たちは、利用デバイスとコンテンツの特徴からα世代をタイプ分けし、さらなる理解を試みました。

21年1~2月に、全国の10~40歳(α世代・Z世代・ミレニアル世代)5400人を対象として、インターネット調査を行いました。「普段利用するデバイス」と「コンテンツ視聴時間」を聞き、結果からクラスター分析を実施し、4つのタイプに区分しました。それぞれのタイプについて、消費への意識として自分で買うものを自由に選択できるときの基準や学校生活への意識(普段の学校生活に関する質問や将来の希望などを含む)、勉強時間、家族との関係性など、ライフスタイルや保護者の子育てタイプを比較分析し、4つのタイプのα世代のプロフィルを作成しました。

デバイスやコンテンツとの関係はライフスタイルや情報との接点を物語っているものなので、それらが価値観などに直接的に影響を与えているとは言い切れませんが、情報経路に応じたα世代へのコミュニケーション方法を考えるうえで、役に立つ情報だと思います。