「好きなものに関係するもの」を選ぶ割合が最も高い

続いて、α世代の消費観について見ていきます。調査ではまず、自分で自由に選んで買い物をするときの基準について聞きました。

【図表3】買い物の基準
出所=『新消費をつくるα世代』(日経BP)

α世代は「好きなものに関係するもの」を選ぶ割合が最も高く、推し消費をうかがわせる結果でした。次いで「ほしかったが今まで買えなかったもの」「周りで人気になっているもの」の割合が高く、周囲とのコミュニケーションからほしいもの・ことに出合っている傾向が読み取れます。一方Z世代の買い物の基準は、「生活に必要なもの」が最も高く、次いで「好きなものに関係するもの」で選ぶ傾向が強いようです。「動画サイトやSNSを見てほしくなったもの」を買う傾向は、α世代よりも若干強いようです。

また、α世代が好きな物とどのように出合い、実際に買い物をしているのかを知るために、インタビュー調査を行いました。調査では、やや特別な消費(計画購買)を誘発するため、各世代の1カ月の平均小遣い金額よりも少し高めの金額を調査費用として提供し、指定した期間で買い物をしてもらいました。後日オンラインインタビューでその買い物に関する内容を聞きました。

お気に入りやリコメンドの機能を使いこなしている

α世代は、友人との会話やYouTubeの実況動画などからほしい商品に度々出合います。しかし、大抵の商品は普段のお小遣いで買える金額ではないため、親からスマートフォンやタブレットを借りて、Amazonや楽天などのショッピングサイトから商品を探してとりあえずお気に入り登録しておきます。誕生日やテストの点数が良かったときなど、買ってもらえそうなタイミングになったらお気に入り登録しておいた商品を親に見せ、今度は親と一緒に公式ホームページやレビューサイトを確認し、最終的に購入してもらうという流れでした。ほしい物はショッピングサイトで簡単に探すことができることを理解しています。

中には、親がクレジットカードを登録しているためワンクリックで購入できる設定と知っており、金額を考慮することなく購入を進めてしまうα世代もいました。また、特筆すべきは、レコメンド機能を自然に駆使していることです。たとえほしいおもちゃの正確な商品名が分からなくとも、キーワードを打ち込んで似た商品をたどっていけば、類似品としてほしい商品がレコメンドされる可能性があることを感覚的に理解できていました。

親に教えられなくとも、小学校低学年のころから検索機能を使い始め、スマートフォンを操作してショッピングサイトにアクセスし、お気に入りやリコメンドなどの機能を軽々と使いこなしているのがα世代です。改めて、この世代のデジタル機器やサービスへの適応力の高さに驚かされます。

【図表4】消費行動の世代間比較
出所=『新消費をつくるα世代』(日経BP)