「ホットシェフ」は欧米ミニスーパーから始まった
創業時は1店のコンビニエンスストアから始まったセイコーマートも、現在では道内175市町村に1000以上の店舗網を有する。
「農業生産・製造」「物流・卸」「小売」を担う28社によるサプライチェーンも築いた。北海道に集中し、製造と物流を自前で手掛け、店舗も直営が8割。セブン‐イレブンやファミリーマート、ローソンの大手3社が志向する高効率システムの逆を行く。
製造から物流、販売にいたる一貫したシステム、それを支える情報システムも同様だ。1979年にはグループ内に食品会社を立ち上げて、惣菜の製造を開始した。その後も水産加工会社や乳業会社などを傘下に収めて、原材料の確保、および商品の製造に注力した。
物流網整備にも早くから着手し、1990年代初めにはすでに全道内の配送体制を築き上げている。
セコマはSPAとしての事業モデルを追求し、道内に原料を求め、製造も手掛けることで地域の雇用創出・維持にも貢献する。「店舗は商品販売チャネルの一つ」と位置づけ、外販にも積極的に取り組む。自社で製造すればコスト管理がしやすくなり、メーカーとしても利益を稼げる。店舗からのロイヤルティー収入に頼るのではなく、サプライチェーン全体で収益を確保する。
また、店内調理の弁当・惣菜メニュー「ホットシェフ」に使うレストラン仕様の調理機などは欧州の展示会をきっかけに調達したものだ。欧米市場で共同仕入れをする現地企業の一つとして調達ルートを開拓し、現地情報に裏打ちされた姿勢が独自性を育んだ。
「製・配・販」ノウハウは自社でないと蓄積できない
セコマは欧米のチェーンをベンチマークし、独自のコンビニチェーンを築き上げた。
酒類卸の丸ヨ西尾の社員だった赤尾昭彦氏(故人、社長・会長を歴任)は、「取引先の近代化を図らないと、卸は駄目になってしまう」という危機感から、既にコンビニチェーンが確立していた米国に渡り、通訳を雇ってオーナーや店長の話を聞くなどして、チェーン理論の研究を重ねた。そして「米国のコンビニのレイアウトを手描きで写し取るなどして1号店を開設した」(丸谷会長)という。
ホットシェフや、他のコンビニよりも手掛けるのが早かったイートインも米国にヒントがあった。赤尾氏が1980年代にフィラデルフィアのミニスーパーを視察した際、店の真ん中に小さなテーブルが置いてあり、そこで若者たちが店内で購入したパンを食べ、牛乳を飲んでいる光景が赤尾の目にとまったのがきっけだった。
情報システムについては、店舗にストア・オートメーション・システムをいち早く導入。発注から製造、仕入れ、配送、納品までの流れを管理、加盟店が販売に専念できる体制を整え、チェーン本部としてマーチャンダイジングの精度向上に努める。
物流・卸のセイコーフレッシュフーズのほか、食材の生産・加工などを手掛ける工場は道内21カ所に点在する。丸谷会長は「製・配・販それぞれの細かなノウハウは自社でやっていないと蓄積できない。コストをトータルで考えられる強みがある」と語る。
こうした仕組みを社内では「持つ経営」と呼んでいる。