ウォーターサーバー事業は「重いものを運ぶ」事業者に合う
この層にとってスーパーで水を買って帰るのは年々、苦痛になってきます。実際、私もだんだん毎朝2本のペットボトルを下げて事務所に通うのがつらくなってきました。まだ60歳になったばかりなのですが、50代の頃とは体力が違うのです。
さて水を配達するのが重くてつらいのは宅配便も同じです。実はここでビックカメラが関係してくるのです。
水の宅配サービスはアマゾンやヤマトの配達網のように何でも届けるサービスに載せるよりも、重たいものを戸別に配達するネットワークを持っている企業の方がやりやすいという事情があります。業界大手のアクアクララは実は重たいプロパンガスの宅配を手掛けていた会社が始めています。ビックカメラも冷蔵庫や洗濯機など重たい家電を配達する配送網を持っている会社という意味で同じです。
「今どうなのか」ではなく「今後どうなのか」を考えると、まず間違いなく日本の宅配便のネットワークは一度宅配クライシスを迎えるはずです。なんでもかんでも配送料無料で翌日に配達するネットワークは、少子高齢化が進む社会で持続的に維持できるはずがない。基本的には運べないもの、運びたくないものの選別がこれから始まります。
「宅配クライシス」で水の配送が変わる
そこで外されるものはかさばるものや重たいものでしょう。いくらニーズがあっても水の配達は近い将来アマゾンやヤマトから専門の配達ネットワークへと移っていくことになると私は予測します。
そして消費者にとっての選択肢は「2リットルの水を自分で運んで100円で買うか、運んでもらって200円で買うか」を選ぶ時代になるわけで、特に拡大する高齢者市場では後者を選ぶ人が増えるはずです。
ちなみにビックカメラの19リットルで3350円というようなウォーターサーバー会社の価格設定は、今後市場が拡大するにつれて規模の効果が効いてくるので、将来的には2000円以下まで下げられるのではないかというのが私の予測です。ちなみにウォーターサーバーが6割の家庭に普及している韓国では18リットルの価格が配送料込みで5000ウォン(約530円)です。
日本では今は安い会社でも24リットル3000円と水の宅配価格はやや高めです。それが1カ月2000円以下で水をサブスクできるようになれば、日本のウォーターサーバーの普及率も一気に上がっていくのではないでしょうか。
つまり5年後の水市場の拡大を考えたら、今、その市場に参入するというのはビジネス感覚としてアリなのだというのが私の考察です。ビックカメラ、これからどうなるでしょうか?