しかし私がもし10分早く事務所についていたら10分多く働けたはず。週3回、つまり月12回であれば合計で2時間も時間をロスしています。時給2000円で計算したら4000円のロスで、そんなことをするぐらいだったら価格が倍のLOHACOの天然水を買ったほうがよほど経済学的に正しいじゃないかと考えるのが「ばかばかしい」派です。

今のところは世の中「妥当じゃないか」派が多いため、結局、2リットルの天然水をスーパーで買って、重たいものを持ち帰り自宅で飲んでいる人が多いわけで、ここがウォーターサーバー普及のひとつの妨げ要因となっていることをまずご記憶ください。

プライベートブランドの水は安いが…

さてここでLOHACOについて別の情報をご覧いただきます。実はLOHACOにも特別配送料がかからない2リットルの天然水があるのです。それがプライベートブランド(PB)商品のLOHACO Waterで5本入り398円、つまり2リットルボトル1本あたり税込み80円で買うことができます。

「だったらそれでいいじゃないか?」

と思うかもしれません。しかし私はサントリーの南アルプスの天然水にこだわりがあります。美食家として水はどこで採水するかで味が違うと信じているからです。

南アルプスの清流
写真=iStock.com/Toshihiro Nakajima
※写真はイメージです

この信仰、今から40年近く前に某有名メーカーの天然水を買ったところかび臭い味がしてまずかったという原体験に基づいているのですが、実はこのような認識自体が近年ではかなり古くさい考えになりつつあります。

日本は加熱殺菌処理を施しても「天然水」を名乗れる

日本の天然水はそもそもヨーロッパのミネラルウォーターとは基準が異なります。ヨーロッパでミネラルウォーターを名乗れるのは、採水してそのまま容器に詰め、一切の殺菌処理をしない水のことです。水源の本来の成分を変えることが禁止される一方で、水源の環境基準が厳格に定められ守られている。これがヨーロッパのミネラルウォーターです。

一方で日本の天然水とは主に山間部で数十年から数百年かけて濾過ろかされた水源から採取した水を沈殿、濾過、加熱殺菌処理した水のことです。昔はこの加熱殺菌処理が不十分な飲料工場があって、それでメーカーごとに品質の違いがはっきり味でわかったのですが、この数十年で浄水技術が向上したため今では水源が違っても品質の違いをほとんど感じなくなりました。

だったらわざわざ遠い南アルプスから天然水を採水する必要はないじゃないか? 優秀なビジネスパーソンならそう考えますよね。世の中その通りで、大手スーパーやコンビニでは有名ブランドよりも安価なPBの天然水を販売するようになります。価格は2リットルボトルで70~80円前後とお得です。そして採水地を見るとほとんどのPB商品の場合は首都圏に近い。つまり輸送コストが安い立地で天然水を生産することで企業努力しているわけです。