日本では水道の蛇口から出てくる水をそのまま飲める。これほど水資源に恵まれている国は珍しい。ところが、内閣府の調査によると約3割の日本人はミネラルウォーターなどを購入して飲んでいる。経営コンサルタントの鈴木貴博さんは「高齢化の進む日本では、これから『宅配水ビジネス』がさらに拡大するだろう」という――。
ウォーターサーバーのボトルを配達する人
写真=iStock.com/LightFieldStudios
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ビックカメラがウォーターサーバー事業に参入

家電量販店大手のビックカメラグループが2022年9月、ウォーターサーバーの販売に本格参入しました。よく事務所に置いてある紙コップで冷えた天然水を飲めるアレです。

この話を聞いた人の反応は2通りに分かれるようです。

「いやあれ便利だけど高いよね」

という人と、

「いやいやよく考えたら安い買い物だ。サーバーは無料レンタルだし水は配達してくれるのだから」

という反応です。

なぜそのように反応が分かれるのか順を追って説明しますが、要するにビックカメラはウォーターサーバーのレンタル市場について今後、「安い買い物だ」と考える人の人口が増えていくことを予測しているのでしょう。水ビジネスに関して何が起きているのでしょうか?

「水道水派」は圧倒的多数ではない

日本人は外国から「安全と水はタダだと思っている」と言われるほど、日本の水道水は品質が良いことで知られています。昭和の時代はほぼ100%の人が水道水を飲み水として使っていたのですが、最近はどんな状況になっているかご存じですか?

内閣府の「水循環に関する世論調査」によると、水道水をそのまま飲み水として使う人は日本人全体の43.9%。33.9%の人がミネラルウォーターなどを購入して飲み、28.0%の人は浄水器を設置して水道水を飲み水として使うと回答しています。水道水をそのまま飲む人が「圧倒的多数派」とは言えない状況になりつつあります。