「大病院に患者が集まりすぎる問題」対策

この背景には、一部の病院に外来患者が集中し、患者の待ち時間が長くなったり、勤務医の外来負担が重くなるなどの課題が生じていることがあります。医療提供体制を維持するためには、「外来」と「入院」の機能、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」といった病床の機能を分化・強化・連携することが不可欠です。

大病院は中小病院や診療所からの紹介により、高度かつ専門的な医療を必要とする患者のみを受け入れ、回復期に移行した患者には、身近な中小病院・診療所を逆紹介するというのが、厚生労働省が目指す「地域包括ケアシステム」のイメージです(図表3)。

大病院への患者集中を防ぐ「地域包括ケアシステム」

このシステムが機能することによって、一部の病院に外来患者が集中することを防ぎ、患者の待ち時間短縮や勤務医の負担軽減も期待できます。

自分に合う「かかりつけ医」を見つける

ここでキーとなるのが「かかりつけ医」です。厚生労働省は「かかりつけ医」の定義として、「健康に関することをなんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介してくれる、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」としています(※5)

患者の普段の状態をよく知っている「かかりつけ医」からの情報提供があれば、初めて診る患者であっても病状の把握が迅速に行えたり、検査の重複が避けられるといったメリットがあります。病院によっては、紹介状のない患者はそもそも診ないという方針のところもあります。

今後の医療提供体制においては、かかりつけ医機能が強化される方向であることは間違いありません。信頼できる「かかりつけ医」を見つけることが上手に医療にかかるコツであり、経済的負担を抑えることにもつながります。予防接種を受けたり、風邪などで受診する機会を捉えて、自分に合う医師を探してみてください。

(※5)厚生労働省「『かかりつけ医』ってなに?