なによりも大事な「ヒップレンジ」
市場には何十万円もするオフィスチェアもありますが、どんなに高価な椅子であってもヒンジして腰掛けなければ、すぐに骨盤が後傾して猫背になってしまいます。つまり、椅子のデザイン(座面の形状は重要)よりも椅子に座るまでのフォームと、座ってからの意識の方が大きく影響するということです。
先ほど、腰のアーチを維持したまま、腰を折り畳むように出っ尻にしてかがむことをヒップヒンジと呼びました(省略して「ヒンジ」と呼ぶこともあります)。
このヒップヒンジは、最も重要なスキルです。坐骨枝で座面を捉えるには、ヒップヒンジして腰掛けなければいけません。
正しい椅子の座り方
椅子に座るときは、まず太ももに手を置いて肘を伸ばしてつっかい棒にし、腰椎のアーチを維持しながらヒップヒンジします。
動作のはじめに鼠径部の中心を両手4本の指先で押すと、スムーズにヒンジすることができます。前述したように視点を正面に固定して、顔を前に突き出すようにするのがポイントです。
太ももに置いた手で上体の重さを支えれば、全身の動きの速さをコントロールすることができるので、下肢の筋力が衰えている人でも安心して腰を下ろすことができます。
坐骨結節が座面についたら、尾てい骨から頭頂まで一体となって起き上がるように、ゆっくりと骨盤を立てていきます。骨盤を起こす途中でピタッと止まり、安定する感覚が得られたら、坐骨枝で座面をグリップしたということです。
最後にアゴを少し引くと姿勢をキープしやすくなります。
座っているときに過剰に腰を反らせる人もいますが、手を仙骨に当てて、座面に対して仙骨が垂直になっているのが理想です。