「大阪系」と「非大阪系」の分裂含みとなる可能性も
問題は「維新が今後もその方針で一枚岩になれるのか」だ。
前述したように、制度上「二大政治勢力の構築」を誘う小選挙区制では、野党第2党以下の政党は良くも悪くも「野党第1党と共に政権と戦う」か「政権与党の補完勢力となる」かの選択を迫られる。維新は今、便宜的に前者の立場を取っているわけだが、果たしてそれは、党創立メンバーの松井一郎前代表(大阪市長)らの意思なのだろうか。
松井氏は事実上「勝った」はずの参院選の直後、なぜか突然代表を辞任した。後任を選ぶ代表選には露骨に介入し、自らを「(松井氏の)8番キャッチャー」と呼ぶ馬場伸幸氏を代表に据えることに成功したものの、代表が国会議員に移ったことで、党内の力学にも微妙な影響が出始めたのかもしれない。
立憲との「国会内共闘」が進むなかで、やがて維新が、国会での野党間協力を重視する非大阪系の国会議員勢力と、立憲との対決姿勢や党の独自性を重視する大阪の地方議員らの勢力との間で、分裂含みとなる可能性も否定はできない。
小選挙区制の導入以降、「第三極」を標榜した保守系の中小政党は、多くがこうした運命をたどってきた。分裂して所属議員が自民党に吸収されたり、時の野党第1党に吸収されたりしてきたのだ。考えてみれば、維新自身も同様の経験を持つ。現在の維新の前身と言える「維新の党」の代表を務めていた江田憲司氏は、現在は立憲民主党のベテラン議員である。
そんな危機感からだろうか。維新内には早くも波風が立っている。維新のルーツとも言える地域政党・大阪維新の会大阪府議団は9月28日、立憲との「共闘」に「断固反対」する申し入れ書を馬場氏に提出した。松井氏は記者団に「共闘は選挙協力ではない。過剰反応するのは幼稚だ」と府議団の対応を批判。自身も21日には立憲との選挙協力の可能性について「そんなことがあったら維新を徹底的に叩く」と語気を強めていた。