国民民主は再分裂の可能性がある

立憲と維新の「国会内共闘」は、結果的に共産党など他の野党にも波及している。立憲、共産の両党は9月26日、旧統一教会問題などを巡り臨時国会で連携することで一致した。

考えてみれば、「(国会から)憲法に基づく国会召集要求があった場合、20日以内の召集を義務づける国会法改正案を臨時国会の冒頭で提出する」などは、政治的スタンスの違いがあったとしても、野党であれば政権に突きつけるべきものばかりだ。立憲と維新と共産が「野党」としての役割を果たすため、党の独自性を保ちながら共通の追及課題について国会内で連携することは、本来野党のあるべき姿であって、何も問題にすることはない。

しかし、与党化に前のめりな最近の玉木氏を見ていると、果たしてどこまでこうした野党陣営の動きに本気で足並みをそろえるのか、一抹の不安を覚える。実際に3日、野党各党は前述した国会法改正案を衆院に共同で提出したが、国民民主党は加わらなかった。

こうした玉木氏に対し、国民民主党の所属議員はどこまで歩調を合わせるのだろうか。

例えば前原誠司選対委員長である。共産党との連携をめぐり立憲と異なるスタンスを取る前原氏だが、若手議員時代からの「自民党に対抗する大きな政治勢力をつくる」という姿勢に変化はみられない。立憲と維新の国会内共闘は望ましいことであるはずで、玉木氏との距離感がさらに広がる可能性もある。同党の支持労組も、これ以上の自民党への接近を望むとは考えづらい。展開によっては、国民民主党の再分裂も視野に入る可能性がある。

すべては今後の岸田政権の動向次第だが、政権の崩れ方によっては野党陣営にも意外な化学変化が起きかねない。少なくとも、野党陣営に久々に注目が集まる状況は生まれそうだ。

立憲は数字以上に踏みとどまっていた

最後に、立憲民主党についても少し触れておきたい。

立憲が参院選に敗北したにもかかわらず、こういった状況が生まれたのは、選挙結果とは関係ないところで岸田政権が思わぬ形で大きく崩れつつあるという外的要因が非常に大きいのだが、それはそれとして、やはり参院選での敗北が「党にとって決定的なほど大きくはなかった」のだと思う。

維新との「野党の盟主争い」で、追い込まれつつも選挙区で踏ん張り、ぎりぎりで崩されなかったこと。また、泉氏が参院選の敗因を正確にとらえた上で、民主党・民進党時代に代表として野党共闘に汗をかいた岡田克也氏を幹事長に起用し、さらに安住淳国対委員長の再登板(この人事には驚いた)によって「攻める国会」の構えを取り戻したこと。これらが今になって効いてきている。

泉氏は参院選の直後にラジオ番組で「維新に支持率を上回られたが、ここまでよく持ち直して踏みとどまった」と語っていた。まさにその通りだ。あの参院選、立憲は「踏みとどまっていた」のだ。

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