参院選後によく見られる「野党陣営の流動化」
現在の立憲と維新のような、野党陣営における国会での共闘の動きは、参院選の後にはよく見られる。参院選は選挙区に複数区があり、比例代表もブロック制の衆院と違って全国1区。このため、衆院選に比べて中小政党が当選しやすい。だから野党各党は参院選では自らの党勢拡大に走りがちで、野党第1党から見れば遠心力が働く。
しかし、参院選が終われば、次に控えるのは小選挙区を中心とする衆院選だ。政界は好むと好まざるとにかかわらず、政権を争う与野党の二大政治勢力にまとまる圧力がかかっていく。
その時に野党側の中核となるのは、第1党の立憲だ。たとえ第2党の維新が立憲より支持率が高かったとしても、国会では結局、議席という「リアルパワー」がモノを言う。野党第1党と第2党の間の壁は、実は政権与党と野党第1党の間より高いのだ。
3年前には国民民主が立憲に流入した
前回参院選があった3年前の2019年を思い出してほしい。立憲民主党は当時、野党第2党だった国民民主党と勢力が拮抗しており、両党は特に参院で、熾烈な「野党第1党争い」を展開していた。
しかし、参院選で立憲民主党が改選議席をほぼ倍増させる躍進を果たし、国民民主党が伸び悩むと、参院選後の国会では立憲を中核とした国会での野党共闘態勢が構築され、1年後の20年秋には、現在の泉健太代表をはじめ多くの国民民主党議員が立憲民主党に合流した。
「あれは両党が解党してできた『新党』だ」との声もあるだろうが、外から見れば党名も代表(当時は枝野幸男氏)も同じ。立憲が所属議員を大きく増やしたようにしか見えないだろう。
ここまで分かりやすい展開もめったにないが、参院選で遠心力が働いた野党勢力が、衆院選で再び、野党第1党を軸にまとまる方向に動くのは、衆院選と参院選の選挙制度の違いによる必然でもあるのだ。