幸か不幸か、海外VIPは軒並み参列せず

そして、政府と国民の間の絶望的な感覚のズレにトドメを刺したのが「3」だ。

もしお茶の間でも名の知れた海外VIPが続々と参列するようなことになっていたら、国葬への風当たりも変わっていただろう。例えば、英国王室メンバーや、トランプ元米大統領、バイデン米大統領、韓国の尹錫悦大統領などワイドショーでよく取り上げられるような人々が、いち早く「安倍国葬への参列」を表明していたら、「それだけの要人が来るんだから、やっぱり国葬にすべきだ」なんて感じで賛成に流れる人もかなりいたはずだ。

なぜそんなことが言えるかというと、2020年東京オリンピック・パラリンピックもそうだったからだ。ご存知のように、あのイベントは招致段階から裏ガネ疑惑や不祥事が続発して、国民が経済活動をストップしてまでやるべきなのかという反対の声も多くあったが、海外のアスリートたちが開催を希望していることや、「いまさら中止したら世界に恥を晒す」という声で押し切られた。

島国根性の悲しいところで、われわれは「世界にどう見られるか」を過剰に気にする。だから、ワイドショーでお馴染みの海外VIPが「国葬へ行く」と宣言すれば、「おお! 見ろ、国葬が世界に支持されているぞ」と急にのぼせあがって「風」が変わるのは間違いない。

ただ、幸か不幸か今のところ、日本人が好きそうな海外VIPの参列はなさそうだ。岸田政権は国葬をゴリ押しした割には、「運」にも見放されているのかもしれない。

故人を政治利用するのはこれで最後に

個人的には、こんな「宗教色ゼロのお別れ会」で送られる安倍元首相が可哀想でしょうがないが、国葬を支持している「保守」の皆さんも気の毒に感じている。

国葬の失敗によって一般国民からの信用が低下してしまうからだ。

「保守って人たちはこんな無茶苦茶な話ををゴリ押ししていたのか……、イデオロギーで頭がいっぱいで、冷静に物事を見ることができないんだな」なんて感じで一般庶民の意識とかなりギャップがあることが知れ渡ってしまうことで、憲法改正や敵基地攻撃能力などほかの主張まで説得力を失ってしまう恐れもあるのだ。

今の日本でそれでも「国葬」をしたいのなら、まずはしっかりと法整備をして、国葬の根拠と条件を明確にして、「宗教儀式」として開催できる道を模索すべきだ。神道なのか、仏教なのか分からないが、「無宗教のお別れ会」など、国葬として実施する意味はない。

時の政府の気まぐれで、こんな残念な形で故人を政治利用するのは、吉田元首相、安倍元首相の2人でもう終わりにしていただきたい。

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