まずは最近受けた健康診断の結果を用意してください。いろいろな数値が記載されていますが、リスクの見える化に必要な数値は次の項目です。

・血圧
・コレステロール値(LDLコレステロール値、HDLコレステロール値)

これに加えて、「糖尿病」を持っているかどうか、「慢性腎臓病」に罹患りかんしているか(ステージはいくつか)がわかれば、予測することができます。

そのほか、年齢、性別、喫煙の有無も含めて、図表1に沿って点数を足していきます。その合計点によって、「10年以内に心血管病(冠動脈疾患)になる可能性がどのくらいあるのか」「リスクは高いのか、低いのか」がわかります。

これは、「吹田スコア」と呼ばれています。すでに冠動脈疾患をお持ちの方は予測することはできないのでご注意ください。

スマホアプリ「これりすくん」も有用

先ほどは「年齢が○歳だから○点」「血圧がいくらだったら○点」……と、ご自身で各点数を足して合計点を出してもらいましたが、もっと簡単にリスクを教えてくれるツールがあります。

「これりすくん」という名前のスマホアプリです。

りすのキャラクターがアイコンになっているかわいらしいアプリですが、じつは日本動脈硬化学会が出しているもの。先ほどの吹田スコアをベースにつくられたアプリ(注)で、私も、ふだんの診療のなかで使っています。ただし、糖尿病・慢性腎臓病についての入力項目はなく、いずれかをお持ちの方はリスク計算の対象外であるため、アプリではなく図表1を使って計算するようにしてください。

(注)2022年7月に久山町スコアをベースにモデルチェンジし心血管病に加えて脳血管疾患の10年リスクも勘定するものになった。

このアプリでは、「総コレステロール/LDLコレステロール(どちらか一方でもよい)」「HDLコレステロール」「中性脂肪」「年齢」「性別」「喫煙習慣の有無」「血圧」「耐糖能異常の有無(わからないときには「不明」に)」を順に入力していきます。

このうち、耐糖能異常とは糖の負荷に耐えられないこと。食後に上がった血糖値を正常に戻す能力が弱いことを意味します。ここでは、「空腹時血糖値」が110~125mg/dL、または「75g糖負荷試験(OGTT)2時間値」(ブドウ糖を75g摂取した2時間後の血糖値)が140~199mg/dLに該当する場合、「耐糖能異常あり」となります。

入力が終わったら「計算する」というボタンを押すと、ポンと結果が出てきます。

・リスクは高いのか、低いのか
・10年以内に脳心血管病を発症する確率は何%あるのか
・同年齢、同性で最もリスクの低い人に比べて何倍確率が高いのか

これらを教えてくれます。