親側が折れない限り、子供に勉強をさせるのは難しい

例えば、家では親に反発したり言うことを聞かない子どもでも、学校の先生や塾の講師と「この人なら信頼できる」という関係が築けたら、すごく素直に変わります。これが中学生になってしまうと、学校で多少は信頼している教師に対しても、「何言うとんのや」という感じで反発していきますが、小学生はだいぶ様子が違います。

塾でも、講師側が子どもとの信頼関係を構築できたら、「あの先生が言ったから」と、それだけで本気になって計算練習を10問でも、20問でもやってくれるのです。子どもとの信頼関係を築くまでには、講師も手を替え品を替え、日々さまざまなコミュニケーションの努力をしているわけですが、親の場合はその倍ぐらい努力しなければ絶対に子どもには伝わりません。親にもそういう「努力の段階」が必要なのです。

子どもの反抗は、彼らが親と向き合うとき、「自分が不利なこと」がある場合に起こることが多いのです。例えば「テストの点数が悪い」とか「勉強がわからない」とか。子ども側にしたら、毎日学校に行って、塾に行って、自宅でも勉強して、それだけでも十分頑張っているというのに、その日常はなかなか親には響きません。ましてや、よい成績をとっても「塾に行ってるんだから、当たり前」と言われてしまう。

日々頑張っていることも認められなければ、成績がよいことも褒められず、悪ければ文句を言われる。子どもに為す術はありません。そんなときに友だちに「面白いゲームあるよ」と誘われたら、勉強を休んで遊びたくなるのも道理だと私は思います。

もしも、その横道にそれそうなところで、子どもに勉強してもらいたいと願うなら、それはやはり親側が折れない限り、うまくはいきません。

例えば、教育相談の場でも、私がお母さん側ではなく子ども側に立ち、「いろいろお母さんは言うけど、キミのほうが合ってるかな」と口を添えると、それだけで彼らは聞く耳を持つようになってくれます。聞く耳を持ってくれたら、あとはちょっとずつ変わっていきます。小6生の反抗期はまだかわいいものなのです。

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小学6年生の夏に失速してしまう生徒も

「四六時中、勉強することが楽しくてしょうがない」というタイプの子どもでも、小6生の夏をピークに失速してしまい、入試本番で合格を勝ちとれないことがあります。

小学生にとって本番にピークを合わせるというのは、なかなか難しいものなのです。子どもがすごく勉強に集中しているときというのは、食事中も移動中もかまわず、とても前向きな状態で勉強漬けになっています。

そんな彼らでも睡眠時間は確保しなければならないですから、それを優先すると、1日のなかに勉強以外のことをする余裕はなく、起きているあいだは、学校・塾・家庭学習(課題)・自主的な勉強と、「常に頭を働かせている」ことになります。この集中した状態が続くことで、「解答をつかむスピード」が「瞬時」になってくるのです。