中学入試を控えた子供が「塾をやめる」と言い出したら、どうすればいいか。関西を中心に展開する進学塾・浜学園の橋本憲一副理事長は「小学生は勉強するだけで偉い。親のほうから折れたほうがいい。幸いにも中学生とは違い、小学生の反抗期はちょっと角度を変えてアプローチすれば、対応できることが多い」という――。(第2回/全2回)
※本稿は、橋本憲一『中学受験に合格する子の学んだら忘れない勉強ルーティーン』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。
「勉強しないなら塾をやめなさい」と怒鳴る母親
教育相談で毎年必ずあるのが、「6年生になって反抗期が始まった。どう対応したらいいだろう」という保護者からの問い合わせです。
あるとき、「息子と喧嘩中だ」というお母さんが塾に相談にきました。我々に息子との仲を取り持ってほしいというわけです。その子どもは入塾テストもきちんと合格していますし、一時は上位クラスにいたこともあって、学力が十分に伸びる可能性を持っている子どもです。
ところが、小6生になった途端、本人が「勉強しない」と言いだし、家庭学習の課題も常に最初のページと最後のページしかしないと言います。なかなかユニークですが、お母さんはそのいいかげんな課題のやり方を見てものすごく怒り、「勉強しないなら塾をやめなさい」「ああ、もう僕やめるわ」と、親子喧嘩になったということでした。
私は小6生の反抗期というのは、周囲に対して「リアクションできるようになった」現れだと思っています。
1日中誰に対してもむっつり不機嫌な中学生の反抗期とは質が違って、小6生の場合は、お母さんと喧嘩してプンプン怒って家を出たとしても、塾に着いたら友だちとゲラゲラ笑い合っているというように、怒りを根に持たず、自然に気分の切り替えができるのです。私はそれが偉いと思います。中学生はそうはいきません。
小6生の反抗期は、親がおびえたり怖がったりする類のものではなく、向き合う親や周囲の側がちょっと角度を変えてアプローチしたら、いくらでも修正可能なのです。