合理化を進めた結果、魅力的な店ではなくなってしまった

この思想が一時期、消えかけていた時があったと私は感じていました。2007年に創業者の佐藤達雄氏が亡くなり、09年にMBOを実施。オオゼキは上場を廃止しました。

この非公開化によって企業経営がある意味、閉ざされたように私には映りました。その後、経営と執行の分離をはかるトップ人事などがあり、ある意味、創業者の作ってきた経営というより、合理的な経営スタイルへと舵をきったように思えました。私が感じていた「売り場のワクワク感がなくなった」のはこの頃です。やはり、企業経営は現場に直結するのだなと思っていました。

しかし、その後、佐藤達雄氏の長女である石原坂寿美江・会長兼社長が陣頭指揮を執り、オオゼキは輝きを取り戻しました。石原坂社長は現在も定期的に売り場に顔を出し、現場の声を拾っています。その姿は、佐藤達雄氏の姿とダブります。

結果的に最近のオオゼキは、昔見た、あの「市場感覚そのまま」のオオゼキを売り場で再現しています。

先日、オオゼキ創業の地、そしてオオゼキの全店の中で売り上げが常にトップクラスの世田谷・松原店に行ってきました。

松原店はオオゼキにとって特別な店です。佐藤達雄氏が昭和30年代前半にオオゼキの祖業である乾物屋を開業した地だからです。その後、生鮮品を付加して食品スーパーへと業態転換し、大繁盛店になりました。18年4月に改装のため閉店し、19年4月にリニューアルオープン。再び繁盛店への道を駆け上がっています。

19年にリニューアルオープンした松原店 筆者撮影

品ぞろえは店舗によって大きく異なる

オオゼキは経営の原点に立ち返って、再度、オオゼキならではの独自の経営を構築し始めていることを松原店の売り場作りから実感しました。そこには2つの創業原点の徹底がありました。

①オオゼキの個店主義

オオゼキは徹底した個店主義をとっています。仕入れは各店舗の担当者に一任されています。

市場での買い付けも店舗ごとに行っているのが特徴です。セントラルバイイングをしている企業と比べて人手もかかるし、品ぞろえは店によってマチマチです。品ぞろえが違うとコントロールがしにくい。

しかし、お客さまにとっては「私の欲しい物をそろえてくれる店」になります。オオゼキのこだわりはここにあります。松原店は300坪というオオゼキでは比較的大きな売り場面積でもあるため、その広い売り場を活用したおもしろい取り組みをしています。

それが市場型の売り場です。青果や鮮魚売り場で見られる売り方です。市場のように陳列された売り場に市場直送の魚や野菜が所狭しと並びます。

一方で、人気寿司チェーン「寿司の美登里」のテイクアウトコーナーやプロの料理人が唸るイタリア食材(オリーブオイル、パスタなど)の導入、またワインの品ぞろえは600SKUなど、松原店の立地する世田谷区に住む富裕層や飲食店のシェフも満足できる商品構成になっています。

このように、立地にあわせて独自の品ぞろえをしていくオオゼキの姿勢がお客さまに評価されているのです。