食品スーパー「オオゼキ」が好調だ。東京、神奈川、千葉に41店舗を展開し、売上高は約1000億円。プロにも支持される豊富な品揃えがウリで、一坪当たりの売上高は日本一ともいわれている。なぜそうした個性ある食品スーパーとなったのか。経営コンサルタントの岩崎剛幸さんがリポートする――。
オオゼキ上野毛店(世田谷区上野毛)(写真=Suikotei/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons)
オオゼキ上野毛店(世田谷区上野毛)(写真=Suikotei/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

ダンチュウ誌の企画で「プロの支持率No.1」に

東京、神奈川、千葉に41店舗を展開する食品スーパーのオオゼキは、その品揃えの確かさから飲食のプロからも支持されていることで有名です。たとえば雑誌「dancyu」(2021年9月号)アンケートでは「プロの支持率No.1」に輝きました。

私も以前は毎週のように利用していました。しかし、売り場のワクワク感が減ったように感じ、一時期、足が遠のいていました。先日、ひさしぶりに売り場に出掛けてびっくり。以前のようなオオゼキの姿を取り戻していました。いや、むしろパワーアップしているようにさえ思えました。

オオゼキはなぜ復活できたのか。輝きを取り戻したオオゼキの何がすごいのか。分析していきます。

売上の伸び率はそれほど高くない

オオゼキは業績を確実に伸ばして、2021年度(20年3月~21年2月)の売り上げははじめて1千億円を超え、1025億円でした。

1025億円という数字だけ見るとオオゼキは売り上げ拡大に熱心な、イケイケドンドン型のスーパーかと思うかもしれません。しかしそうではありません。

業界優良企業と比較してみましょう。オーケー、ロピア、ヤオコーという食品スーパー業界で成長率の高い企業と比較すると売上高も伸び率もオオゼキは見劣りします。たとえばロピアは2018年度と比較して、直近2022年度の売上高は約2倍に伸びています。

優良小売り売上高推移比較表

オオゼキの「復活」を探るには、もう少し長いスパンでの業績推移をみる必要があります。

オオゼキ年度別損益(2016~2022)