店員のほとんどが正社員のワケ

②地域密着主義を支える人材の充実

松原店ではベーカリーを自社運営しています。それは「スーパーの枠を超えたレベルの商品を提供したい」という思いからです。そこでベーカリーとお弁当などの総菜は直営売り場として、さまざまな新しいヒット商品を生み出しています。

串カツや手巻き寿司、ひじきの煮物など10点ほど惣菜を購入しましたが、どれもおいしくて安いと感じました。比較のため百貨店の総菜売り場で同様の商品を購入したのですが、値段が半分で、味はオオゼキのほうが上という物も多く、オオゼキの商品開発力の高さを知りました。この数年で、オオゼキは独自の商品開発にかなり力を入れているようです。

このような付加価値を生み出す商品開発を実現するために、オオゼキでは1店舗あたり50~60名の従業員を配置しています。しかも、正社員比率70%という高さ(通常は30~40%程度)です。

その従業員が売り場内をかけずりまわり、暇さえあれば品出し、補充を繰り返し、品切れができるだけ発生しないように売り場をメンテナンスしています。また、館内放送で本日の売り出し品を丁寧に解説したり、週末の特売(私の視察時は「貝祭り」)を案内したりするなどして、お客に訴えていました。

顧客主義を貫いた結果、坪効率は業界1位に

地域密着の店として、お客さまのために何ができるのか。

オオゼキはお客さまが欲しいと言う商品があれば、トマト1個からでも仕入れることで有名ですが、それは、地域のお客さまのためにできることをすべてやりたいと本気で考えているからです。

商品の回転率がどうなのかとか、消化率がどうかということは後回し。

まずはお客さまが欲しいという物を、きちんと品ぞろえする。それが最大のサービスであると考えているのです。

しかしこうした地域密着経営の結果、オオゼキの坪効率は業界でもNo.1だと言われています。

食品スーパーの年坪効率(年間1坪当りの売上高)は500万円以上であれば高いと言われますが、オオゼキは1300万円を超える坪効率(平均売り場面積は筆者推測値)です。地域のお客さまのためにと品ぞろえして販売した商品が高い売り上げを作り上げています。

さらにオオゼキには独自のキャッシュバックポイントカード(月に1回たまったポイントを現金に換えられる)があります。また、デリバリーアプリの「menu」と組み、22年3月からは店内2300アイテムのデリバリーを始めています。現在は大森北店、武蔵小山店、目黒不動前店、府中店の4店舗ですが、今後増えていくことでしょう。