部下の向上心をそぐ「言われたとおりにやって」

パターン3:「理屈はいいから、早くやって」 ~思考停止型上司~
中途入社した職場で、前任者から引き継いだ仕事。前職で同じような内容を手がけていたこともあり、引き継ぎ書の内容に疑問を感じる。

そこで上司に、「ここはどうしてこうしているんですか? もっとこんなやり方も考えられるのではないですか?」などいくつかの疑問をぶつける。

しかし、上司は「あ、それね。僕が8年前に外部のコンサルの人と一緒につくったものなの。ちゃんと効果も出ているから問題ないよ。君はそのとおりにやってくれれば大丈夫だから。理屈はいいから、早くやって」と取りつく島もない。

これでは、中途入社者が自身の経験を活かし、より良い仕事をしたいと思う気持ちをそぐことになってしまいます。また、上司の「自分の言うとおりにやっていればいい」といったおごりも感じられ、部下を尊重していない姿勢が伝わってしまいます。

同じ作業でも社会的価値を知ればやりがいを感じられる

「仕事の目的」とは、その仕事の最終的なゴールです。今やっている仕事が1つのバトンだとすれば、そのバトンは、誰にわたり、どのような経路で、最終的に世の中とどのようにつながっているのかを実感できるということです。つまり、「社会的価値」の理解です。

わけもわからず畑に水を撒いている人よりも、自分が撒いた水で美味しい野菜が育ち、その野菜がレストランに運ばれ、一流のシェフの手にかかり美味しい料理になる。その料理が、食卓を彩り、それを食べる人たちが喜んでくれて幸せになる。

このことを知っている人のほうが、たとえ同じ作業であったとしても、「やりがい」を感じるはずです。仕事のとらえ方ひとつで、仕事の価値は大きく変わり、仕事への取り組み姿勢まで変わるのです。

写真=iStock.com/metamorworks
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多くの企業が理念や、ミッション、ビジョンなどを重視するのも、そのような価値観の共有が重要だからです。社外へのメッセージだけではなく、社内に向けて「会社の社会的意味」「ここで働く意義」「大切にする価値観」などをしっかりと伝えることが、従業員の仕事への「やりがい」につながるのです。