活力のある職場をつくるには、どうすればいいのか。経営コンサルタントの松岡保昌さんは「その仕事がどう世の中の役に立つかを上司が伝える必要がある。仕事の本質を伝えないまま業務を振れば、職場のやる気はみるみる失われてしまう」という――。

※本稿は、松岡保昌『こうして社員は、やる気を失っていく』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

落ち込むビジネスマンのイラスト
写真=iStock.com/kazuma seki
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やる気に水を差す「いつものとおりやっといて」

パターン1:「いつも、こうしているから」 ~惰性型上司~
年に一度の社員総会。例年、社長や役員の挨拶、その年に活躍した社員の表彰などが、型どおりに行われる。

当初は全国の支社から参加できるためオンラインでの開催を考えていたが、対面を希望する声も少なからずあったことから、せっかくなのでオンラインとリアルのハイブリッドや、単なる表彰だけでなく、講師を招いてのセミナーやクイズ形式で全員が楽しめるような企画など、少し工夫できないかと考えた。

上司に、さりげなくそう伝えてみたが、「いらない、いらない。いつも、こうしていて、とくに不満も出ていないからさ。いつものとおりやっておいて。そのほうが失敗することもないし、大変じゃないでしょ」と一蹴されてしまった。

部下にしてみれば、そのような「誰でもいい仕事」を自分がやらされているのかと残念な気持ちになります。また、誰もが「仕事は大変ではなくラクなほうがいい」と思っているわけではありません。このような指示は、せっかく価値ある仕事をしようというメンバーのやる気に水を差す結果になってしまうのです。

「ルールで決まっているから」という一点張り

パターン2:「それは禁止。ルールだから」 ~問答無用型上司~
顧客から新規案件の打診があった。ただし、その案件を実現させるには、通常の処理工程を変える必要がありそう。

上司に相談したところ、「あ、ダメだな。それは禁止されているから、受けられないな。今までのやり方で対応できるように説得して」と言われてしまった。

それでは顧客の要望に応えられそうもないので、なんとかならないか食い下がったものの、「ルールだから」の一点張り。

ルールはもちろん大事です。しかし、なぜそのルールが必要なのか、どういう観点でそのルールが大切なのか、本質がしっかり伝わらないと部下は納得がいきません。