アルバイトスタッフの離職率が高い店に共通点はあるのか。大企業の収益・生産性改善に取り組んできたトリノ・ガーデン代表取締役の中谷一郎さんは「離職が多い店舗はスタッフの1日当たりの運動量が多い。アルバイトスタッフの早期離職は精神的な負荷と身体的な負荷のどちらか、または両方が大きくて、それが賃金に見合わないと感じることで多発する」という――。

※本稿は、中谷一郎『中間管理職無理ゲー完全攻略法』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。

レストランで挨拶する若い女性従業員数人
写真=iStock.com/koumaru
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スタッフの足並みがなかなか揃わない

【無理ゲー】

全員で連携しないと完遂できない案件なのに、スタッフの足並みも意識も揃わない

優秀なメンバーもいれば、そうでないメンバーもいる。チームワークを発揮させたいのに、スタッフの動きや意識にばらつきがあり、足並みがなかなか揃わない。ゲームでたとえるならば、協力プレーを求められるのに、パーティのメンバーのレベルも違い、個々が思い思いに行動している。

【攻略法】

▶️指示代名詞を使わない

チーム内で指示を出したり、会話をする際に、「あれ」や「この」といった指示代名詞を極力使わないようにしましょう。聞き手によって解釈が分かれる言葉ではなく、誰が聞いても同じように理解できる伝え方をすることは、ばらつき抑止にもつながります。

▶️フォーメーションや作業工程に名前をつける

日頃の業務の中で頻発するフォーメーションや作業工程があれば、それに名前をつけましょう。名前をつけることで、認識にばらつきが生じず、また修錬を積みやすくなります。

チーム全体で連携を図り、足並みや意識を揃えてプレーしなければいけないプロジェクト。スタッフ全員のレベルが同等であれば連携も図りやすいものの、現実はなかなかそうはいきません。

一言でチームワークと言っても、同じチームに属するスタッフの動きや作業速度、実行レベルには「ばらつき」が存在することが常です。

上司と部下に長い関係性がある組織ほど「指示代名詞」が多くなる

このばらつきを抱えながらチームとして機能させるために、まずマネージャーがすべきことは、チーム内の会話で生じる曖昧な表現や「これ」「そこ」「この間の」といった指示代名詞を減らすことです。「さっきの場合は……」「あれを用意しといて」など。長期間ともに働いてきた人にはわかるかもしれませんが、スキルや経験が乏しいスタッフは誤った解釈をしてしまい、その結果スタッフによって理解度に差が出ることで、アウトプットにばらつきが生じてしまいます。

特に上司と部下の間に長い関係性がある組織ほど、会話の中に指示代名詞が多くなる傾向が見られます。

指示代名詞が多い時というのは、大体説明の手間や時間を省くという意図があります。歴史的にも、戦において、相手に攻められている緊急事態には、少ない言葉で戦略を伝えたり戦況を報告したりする必要がありました。「了解」などの端的で余計な修飾を削ぎ落とした表現は、もともと有事の際に用いる用語だったのです。

忙しければ忙しいほど、少ない言葉で伝えようとします。そのこと自体は、決して悪いことではありません。

「去年やったあれ」「前に部長が言ってたあの件」と言えば、付き合いの長い部下には「わかりました、あれやっときますね」と通じます。要はツーカーで通じる仲であるということでしょう。

ともに戦ってきた月日が長ければ長いほど、曖昧な表現や指示代名詞が増えていきます。