転職してから3年間で僕が見たすべてを詰め込んだ

――これが、ぼくがトヨタの人事部を辞めるまでのすべてです。

ぼくはいま、先輩たちとの約束を、この手紙をあなたに送ることで果たしたいと思っています。いまの人事部でいちばん偉いあなたに、ぼくの報告を聞いてもらうことによって。

この手紙には、転職してからの3年間で、ぼくが見てきたすべてを詰め込みました。

・サイボウズに転職して、人事の仕事に取り組むなかで気づいたこと
・日本企業のしくみができた歴史を学び直して思い知った、ぼくの主張の浅はかさ
・サイボウズも含め13社の人事担当者に話を聞いて見つけた、新しい会社のしくみ
・それを実現するために必要だと思うこと

髙木一史『拝啓 人事部長殿』(サイボウズ式ブックス)

あなたにこの手紙を届けることが、閉塞感、つまり「1人の人間として重視されているという感覚の薄さ」と「1人ではなにも変えられないという無力感」を打ち壊すためのファーストステップだと思っています。そして、あのとき答えることができなかった先輩たちからの質問にも、自分なりにしっかりと回答したつもりです。

ずいぶんと長い手紙となってしまいましたが、この手紙を読み終えたとき、あなたが思わずぼくと議論したくなるような、あるいは、この手紙を片手に現・人事部のメンバーと会社のこれからを話したくなるような、そんな内容になっていればこれ以上の喜びはありません。

大変おそれいりますが、どうか最後まで読んでいただけると幸いです。(『拝啓 人事部長殿』1章につづく)

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