元気な高齢者向けグルメやエンターテインメントがない

私が繰り返し本で述べているのは、長生きにとらわれたり、検査データにとらわれたりするより、自分からみて頭がシャキッとしていたり、元気だと思える状態が大切だということだ。そうしたら本はバカ売れしたのである。

私の見るところ、高齢者向けの産業というと、介護福祉事業や健康食品(その多くがコレステロールや血糖値を下げるなど検査データの改善をうたい、主観的な元気さを求めるものでない)など、かなりステレオタイプだ。

たとえば元気な高齢者向けのグルメとかエンターテインメントは乏しい。これが、高齢者がお金を残しても楽しめないという悪平等のようなものを生んでいる。

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70代、80代向けの元気で楽しもうという本が売れたということは、リアルに元気で楽しめるものを売り出したり、そういうサービスを始めたりしたら、それを利用する者は必ずいる。さらにいうと2000兆円を超えた個人金融資産にしてもその7割は60歳以上が持っているとされる。私が話を聞く範囲では、昔ほど、子供に財産を残したいという強い意志を持つ人は減ってきている印象だ。

このビジネスチャンスをなぜ活かさないのだろう?

たとえば高齢者が交通事故を起こした際、ただちに免許を取り上げよ、という風潮に対して、「うちは高齢者が事故を起こさない車を作ります」と名乗り出る自動車メーカーがなぜ出てこないのだろう? 私の印象では、車を手放すくらいなら、少々高くてもそういう自動車がほしいと思う高齢者はかなりの数でいる。