しかし『鬼滅の刃』は、「コンテンツの作り手の気持ち」を十分に理解できる人が、新しい時代の資本主義のテクニックを使って、現場の力を最大限に活かせる仕組みを独自に作り上げることで世界大ヒットを実現させました。

そのプロセスでは、外資系コンサルタントや外資系投資銀行が提供するような最先端のビジネススキルも存分に活かされているでしょう。しかし最も重要な点は、「彼ら(=外資系コンサルなど)に使われる」のでなく「彼らを使いこなす」ことができている点だと思います。

現場に根ざした業界の人たちが考え抜いた、最も動きやすい仕組みを実現させ、「オリジナルな勝ち筋」を導くことができた結果だと言えます。

いま必要なのは「令和型のソリューション」

日本の会社はGAFAではありません。GAFAのマネをしても会社自体は変わりません。単に「日本の会社ってダメだね」と悲観するばかりでも現状は何も変わりません。日本の企業は、過去の遺産を食い延ばすことでしか生き残ることはできなくなります。

倉本圭造『日本人のための議論と対話の教科書』(ワニブックスPLUS新書)

グローバルな事例に詳しい人と、国内の事情に詳しい人、アカデミックに俯瞰的な話ができる人や、話をまとめて人を動かすことが得意な人……などが集まって一緒に考え、「自分たちの勝ち筋」をそれぞれの業界で見出していくことが必要でしょう。

あなたのいる業界でも他人の真似をするだけでなく、『鬼滅の刃』のヒットの背後にあったような「オリジナルな勝ち筋」を、時間をかけて見出していくことができれば、コンサルタントたちとの協業も有意義なものになっていくでしょう。

私はそれを「令和型のソリューション」と呼んでいます。「昭和的な惰性の延長」でも「日本をぶっ壊す! の平成風」でもありません。

まずは、知恵を持ち寄ってリアルな議論を通して「自分たちの勝ち方」をしっかり考え抜くことが欠かせません。コンサルに任せるだけでは、勝ち方は描き切ることはできません。思ったような結果は出ず、彼らを大儲けさせるだけになります。

日本の会社はダメだと「ワンパターンの罵り合い」は止めにして、いかに勝ち筋を見出すリアルな議論ができるか――。ここに国の今後はかかっています。

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