日本のマスコミは、なぜ「マスゴミ」と嘲笑されるようになったのか。経営コンサルタントの倉本圭造さんは「あらゆる現象を『権力vs反権力』の闘争に見たててしまう日本のメディアのあり方は、すでに限界を迎えている」という――。
「政府一転」と日本語で書かれたニュースの見出し
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「だから日本はダメなんだ」と報じ続ける日本のメディア

コロナ禍という危機の中で、国内メディアは機能不全を露呈させました。

私が特に問題だと考えているのは、冷静さを失った感情的な報道姿勢です。

いわゆる「出羽守でわのかみバイアス」の問題です。「出羽守」というのは、出羽国(現在の山形県と秋田県)を統治する者……という古い役職名とかけて、「欧米“では”~、日本“では”~」と他国の例を引き合いに出して語る人を指す俗語です。

最近では「欧米では~、日本では~。だからもう日本は“おわり”だ!」と話してばかりいる人は「尾張守」と呼ばれているとか(尾張は現在の愛知県西部のこと)。

「バイアス」は偏見を意味します。つまり「出羽守バイアス」は、常に欧米を理想化し、日本が「ダメな理由」ばかりを話す人が持つ偏った見方を表します。

コロナ禍で日本国内が混乱する中、「政府批判側の極論」を言う人たちの「出羽守バイアス」のかかった情報が、ワイドショーを中心にして連日のように発信されました。新規感染者数の動向に一喜一憂し、外国の事例を基に日本政府の体たらくを指摘する――。こんな状況が2年近く続いてきました。

いかにも20世紀的な紋切り型です。私は、あらゆる現象を「権力vs反権力」の闘争に見たててしまう日本のメディアのあり方はすでに限界を迎えていると考えています。

本稿では、2020年から続くコロナ禍を振り返りながら、日本のメディアの問題と期待される「新しい役割」について考えてみたいと思います。

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第一に、「出羽守バイアス」は日本人にどれほど影響を及ぼしてきたのでしょうか。例として、日本政府のコロナ対策が「どの程度の出来だったのか」という一般的イメージについて考えてみましょう。