いま外資系コンサルタント会社は大盛況で、売り上げをどんどん伸ばしている。しかし、外資系コンサルタント会社が大儲けしているなかで、日本企業は「良く」なっているのだろうか。『日本人のための議論と対話の教科書』(ワニブックスPLUS新書)を書いた経営コンサルタントの倉本圭造さんは「彼らが使う『ビジネス流行り言葉』にダマされてはいけない」という――。(第1回)
論破だけでは会社の現状を変えられない
突然ですが、あなたは他人を「論破」することにロマンを感じるタイプでしょうか?
SNSなどでは、2ちゃんねるの創設者であるひろゆきさんの影響もあってか、「論破してやった」「論破された」ということにこだわる文化が広がっています。しかし個人的には、こうした「論破」ブームが、日本の会社を前向きな改革から遠ざけてしまっているのではないか? と感じる事がよくあります。
たとえば、経営コンサルタントとして「よくない状態の会社」と向き合うと、いろいろな部署や個人同士が、「全部あいつ(ら)が悪い」と責任をなすりつけあっている様子を目にすることがあります。
「隣の部署が本来こうするべきなのに、さぼっているから俺たちが尻拭いをさせられている」
「ウチは経営陣がダメだから、薄給なのにいつも俺たちだけが苦労している」
「ウチの社員は言われたことしかしないから、会社が全然発展しないんですよ」
「ウチは経営陣がダメだから、薄給なのにいつも俺たちだけが苦労している」
「ウチの社員は言われたことしかしないから、会社が全然発展しないんですよ」
私はこういう「自分の立場だけから見える世界」のことを、「ベタな正義感」と呼んでいます。
いまの世の中にはそれぞれ個人の「ベタ」なレベルで「こうあるべきなのにそうなっていないのが問題だ」という問題意識があふれています。ですが、会社や組織の状態をよくするためにはそうした状況を「メタ」なレベルで整理し、「結局全体として本来どうなっていればよいのか」という作業が必要です。
大事なのはバラバラに存在する「ベタ」な正義感を、「メタ」な正義感に統合していくことだと、様々な企業に関わっていくなかで実感しています。