ですから、定期的な血液検査と合わせて、ぜひこのチェックリストで、心身の不調に気づき、男性更年期障害の疑いがありそうだと思ったら、まずは受診をお勧めします。

受診の際は、以下の認定専門医を受診するといいでしょう。

テストステロン治療認定医(日本メンズヘルス学会)
泌尿器科専門医(日本泌尿器科学会)

いずれもHPで医師の名前が確認できます。

私が資格を有する「テストステロン治療認定医(日本メンズヘルス学会)」のHPですと、名前だけでなく、病院名、都道府県も記載されていますので、お近くの病院を受診してみてください。

テストステロン不足が動脈硬化やうつを招く

テストステロン不足によって引き起こされるのは、男性更年期障害だけではありません。深刻な症状としては、「サルコペニア」や「ロコモティブシンドローム」、「骨粗しょう症」などが挙げられます。

サルコペニアとは「加齢に伴い、筋力や身体機能が低下している状態」のこと、ロコモティブシンドロームは2007年、日本整形外科学会によって新たに提唱された概念で、「運動器の障害により要介護になるリスクの高い状態」のことです。

筋肉を丈夫にする役割を持つテストステロンが不足すると、これらの状態に陥りやすくなるといえます。

さらに、テストステロンの分泌量の低下は、認知症や老人性うつなど、脳、そして心の病気にもつながります。

写真=iStock.com/NicolasMcComber
※写真はイメージです

たとえば、みなさんは、「若いころ、バリバリ働いていた男性が、定年退職したのを機に認知症になってしまった」、あるいは「うつ状態になってしまった」というケースを見聞きしたことはありませんか?

テストステロンは「社会性ホルモン」とも呼ばれ、大きな判断を任されるようなポジションにいたり、競争などにさらされていたりすると、分泌量はどんどん増えていきます。

意欲や行動力が低下し、不健康の悪循環が生まれる

そして、テストステロンが増えれば、その分活発に行動するようになり、成果が上がることで、さらにテストステロンが増すといった良い循環が生まれます。

ところが、仕事一筋で生きてきた人が退職すると、テストステロンの分泌量が急激に減少することがあります。

加齢によるテストステロン不足に加え、それまでテストステロンの分泌を促していた「仕事」という生きがいや「会社」という居場所、周りからの承認を失ってしまうからです。

テストステロンの分泌量が低下すると、今度は、意欲や行動力が低下し、次第に体を動かしたり外出したりすることが少なくなり、さらにテストステロンの分泌量が低下するという悪循環が生まれます。