離婚が増えると男性の自殺も増える

3月は離婚が多い月です。年間離婚数の月別構成比では1980年代以降ずっと3月がトップです。決算のように年度末で結婚生活も清算したいというのもあるかもしれませんが、離婚に伴う子どもの転校などの事情を考慮した影響もあるでしょう。

離婚が多いと心配になるのは男性の自殺です。意外に知られていませんが、実は「離婚が増えると男の自殺も増える」という相関があります。

白衣を着た中年男性の後ろ姿
写真=iStock.com/Masafumi_Nakanishi
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「男の自殺数と相関があるのは失業率ではないか」というご指摘もあるかもしれません。それはその通りで、男性の自殺率と失業率もまた相関します。自殺統計と労働力調査に基づき、1968年から2019年までの男性の自殺率と完全失業率との相関係数は約0.94であり、最大値の1に限りなく近い強い正の相関があります。男性の失業率が上がれば男性の自殺率も高くなるというわけです。

同様に、男性の自殺率も離婚率と相関しています。失業率と同様、1968年から2019年の推移でみると、男性の相関係数は0.91と高い。対して、女性は0.03とまったく相関がありません。つまり、男性は離婚が増えると自殺も増えるのですが、女性の自殺は離婚とは無関係ということです。

離婚率と男女自殺率相関

自殺者の中でも離婚男性は突出して多い

自殺ではありませんが、前回の記事<「一人だと短命になる男、一人だと長生きする女」年金すら受け取れない独身男性の虚しい人生>でも書いた通り、独身男性の死亡年齢中央値は女性と比較して圧倒的に早い。未婚男性は67.2歳ですが、離別して独身に戻った男性も72.9歳と男性全体の平均寿命81.6歳より早く死んでしまいます(全年齢対象計算の場合)。

自殺に関するデータでは、令和3年版自殺対策白書に配偶関係別自殺率というのがあります。それを見ても、男性全体の自殺率が25.7なのに対し、離婚男性は101.0と突出して高いことが分かります。

そもそも自殺率そのものが恒常的に男>女となっており、ほぼ女性の2倍男性は自殺しています。これは日本に限らずほぼ全世界的に共通する傾向です。ここには、明らかに男性特有の要因が隠れていると思わざるを得ません。

そうした男女の違いがなぜ起きるのでしょう。なぜ男性の自殺が多いのでしょう、なぜ離婚した男性ほど自殺へと向かってしまうのでしょう。