この悪循環にはまり、「朝から夜まで家でテレビなどを眺めながら、一日中ぼんやりと過ごす」といった生活を送るようになってしまうと大変です。筋肉と同様、脳も使わなければどんどん退化しますから、認知症を発症しやすくなってしまうのです。
男性ホルモン補充は安価で痛みが少なく効果も高い
男性更年期障害だけでなく、長い人生を楽しみ、いつまでも元気に自分らしく過ごすには、テストステロンが必要不可欠だということは、おそらくおわかりいただけたのではないかと思います。
しかし、すでにお伝えしたように、何もせずに放っておいたら、テストステロンの分泌量は年齢を重ねるたびに、どんどん減っていきます。そこで、みなさんにおすすめしたいのが、薬によってテストステロンを補充するという方法です。
中でも、保険が適用され、効果が高い一方で副作用が少ないのは、筋肉注射による補充です。
「ホルモンを注射で補充する」というと、「体に害があるんじゃないか」「痛いんじゃないか」と不安を抱く方もいらっしゃるかもしれませんが、テストステロンはもともと体内で分泌されているものです。
加齢やストレスなどにより減りすぎてしまったのを、体が正常に機能するのに必要な分だけ補充するわけですから、ほとんど問題はないと言っていいでしょう。なお、注射は左右の腕や臀部に打ち、痛みはほとんどありません。
注射の成分はテストステロンそのものではなく、同じ組成の分子構造で化学的に作られたものですが、ホルモンは脂溶性で、打った瞬間に体内で拡散することがないため、水溶性のインフルエンザワクチンなどと違って痛みが少ないのです。
注射の頻度は2~4週間に一度、期間はだいたい半年以上で、数年かかることもあります。保険が適用されるため、注射自体の料金は一回当たり750円程度です。
もし家族やパートナーが「笑顔が減ったな」、「イライラすることが増えたな」などと感じたら、泌尿器科を訪れるよう促してあげてください。