嫉妬で疲れを溜めないから、メジャーリーガーは強い

すべてのメジャーリーガーにとって、大谷選手はライバルのはずです。その意味では、ライバル心をむき出しにしたようなコメントがあっても不思議ではありませんが、メディアのみならずSNS等でもほとんど見聞きしません。そういう余地がないほど大谷選手の活躍が突出していたということでもありますが、そもそもメジャーリーガー自身が嫉妬や羨望といった意識とは無縁なのでしょう。

彼らもまた最高峰の舞台でプレーしているという自信と自負を持っているため、わざわざ比較したり、他人を貶めたりする必要がない。先のラッセルの見方にしたがえば、むしろ嫉妬や羨望などで余計な疲れを溜めないからこそ、最高峰の激烈な舞台で戦い続けることができるのだと思います。

齋藤孝『60代からの幸福をつかむ極意』(中公新書ラクレ)

この姿勢は、私たちもおおいに見習うべきでしょう。例えばオリンピックに出て活躍する選手に対し、それがどの競技であれ、また結果がどうであれ、私たちは無条件に賛辞を贈ると思います。自分とは比較にならないし、最大限の努力とプレッシャーの中で戦っていることが容易に想像できるからです。あるいはアーティストやアカデミックの世界の人に対しても同様です。

では、自分の身近な人びとに対してはどうか。先にも述べましたが、職場の同僚や取引先、同じ業界の人の活躍や自慢話に対し、どんな思いを抱くでしょうか。やはり賞賛できるとすれば、それは自分に自信を持っていること、もしくは真剣に戦った経験が豊富なことの裏返しだと思います。

その意味で、嫉妬心は自分の力量を知る目安にもなります。そう言い聞かせながら、燃え上がりそうになる炎を抑え込んでみてはいかがでしょうか。

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