飛躍する飲食店に不可欠な条件は…
結論からいうと、神保町の2号店は大成功となった。
オープン早々平日はランチで100食に達し、短縮営業に切り替えざるを得なかったほどだ。毎日12時前には、行列ができはじめた。この大台まで3、4カ月かかると考えていた黒田にとって、驚異的なペースだった。
重要なのはタイミングだった。6月には『dancyu』(プレジデント社)、「プロフェッショナル 仕事の流儀」(NHK)で取り上げられた。焼き麺特集を組んだ『SPA!』(扶桑社)、8月には『東京カレンダー』(東京カレンダー社)でも紹介されることが決まっていた。
焼きそばは日本人にとって親しみのある料理だが、焼きそば専門店はまだマイナーな存在でしかない。わざわざ食べに行く必要はなく、コンビニでも家でも食べることができる。そんな固定観念を取り払うために、メディアへの露出は重要だった。
しかも若者が集まる街というだけでは効果が少ない。黒田が意識する老舗やきそば店「みかさ」が営業している神保町であればこそ、焼きそば専門店を街の人々が抵抗感なく受け入れてくれる。そんな黒田の戦略に乗せるには、何よりもスピードが大事だった。(続く)