質問をするときは「反比例の法則」を利用すべし

みなさんも、LINEなどのやり取りで、いくつか質問を投げたのに「あれ? ひとつしか答えが返ってこないな」と思ったことはないでしょうか?

例えば、デートのお誘いメッセージなどで、都合のいい日と、行きたい場所と、食べたいものを聞いたのに、返事が一言、「お寿司」だったりとか……。質問した側としては、好きな人の希望を叶えたい一心なので「ちゃんと読んでないの?」と思いますよね。このように、相手に悪気はなくても、質問が長ければ長いほど、返事が短くなることはよくあります。

なぜなら、質問と回答には「反比例の法則」が働くからです。営業の現場においても、質問が長ければ長いほど、お客様の返事は短くなります。結果的に、いつまで経っても本当の悩みや問題が出てきません。そこで、売れる営業マンは、反比例の法則を利用して、なるべく短い質問を投げかけます。

簡単ですが、これがお客様を長く喋らせて、本心を引き出すコツになります。

「○○様が今回、保険を見直そうと思われたきっかけは何だったのですか?」

このくらいシンプルな質問だと、いっぺんにあれこれ聞くよりも、お客様の回答の幅がはるかに広がります。なぜなら、きっかけの背後にある経緯や気持ちまで、自由に話せるからです。さらに、質問がすっと入ってくるので、疲れずに回答に集中できます。

ではなぜ、質問と回答には、反比例の法則が働くのでしょうか?

相手にたくさん話させるには「シンプルな質問」が有効

それは、人間の脳に「空白を埋めよう」とする性質があるからです。つまりお客様は、空白を大きく感じれば、たくさん話して本音を漏らしてくれますし、空白を小さく感じればあまり話してくれなくなります。

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例えば、アンケートや学校のテストでも、設問がびっしりで解答欄が狭いと、答えは自然に短文になりますよね。逆に、設問がシンプルで解答欄が広いと、答えは自然に長文になります。あまりにもスペースが余ったら、イラストを描きたくなる人もいるかもしれません。このように人は、与えられた空白に合わせて、自分を表現しようとします。そして、一度、心の扉が開いたお客様は、営業マンがしっかりとリアクションを取り続ければ、どんどん話をしてくれます。

まとめると、お客様がのびのび話すためには、シンプルな質問が大切です。熱意に任せて、長い質問になってはいけません。

あともうひとつ、お客様がすぐに質問に答えないときは、あわてて言葉を足さずに笑顔で5秒待つのがコツです。お客様の悩は、時間的な空白も埋めようとするからです。お客様が本音を話せば、成約率は上がります。まず商談の録音を聞いて、お客様のターンと自分のターンの長さを比較してみましょう。その上で、ヒアリングの質問をいかに簡潔にできるかチャレンジしてみてください。