テスラばかりのロンドンで韓国EVも混じるように

21年の英国の新車販売台数は、全体の17.5%がEVまたはPHEVとなっている。つまり、新車の6台に1台はプラグインで動力を得るクルマというわけだ。これにシェア9.0%に達するハイブリッド車と合わせると、新車市場の26.5%が内燃機関(エンジン)を使わないクルマになっている。

ロンドンの街を歩いていると、韓国製EVのシェアが急激に伸びていることが肌感覚でも分かる。ロンドン中心部と同市の空の玄関・ヒースロー空港とを結ぶ国道沿いでEVの普及具合を見るべく、走行台数を数えたことがある。

昨年末のクリスマス前は、EVといえばテスラ車が圧倒的で、1分に1台以上は通りかかるという状況だった。ところが2月中旬時点では、テスラよりはやや少ない割合で新車でピカピカな韓国EVが混じるようになった。目下のところKiaのEVモデルが多いが、発売されたばかりの「IONIQ 5」もよく見かけ、着実に韓国EVのマーケットシェアが伸びていることが分かる。

「環境車といえばプリウス」だったが…

一方で、環境に優しくないとされるガソリン車やディーゼル車の市場シェアは目に見える形で減少している。英国では2030年、EUでも35年には化石燃料で走るクルマの新車販売が打ち止めになると決まっている。欧州全体でも脱炭素の動きは着々と進んでいる背景もあって、EVへの買い替え組が増えるのは無理もない(もっとも、欧州が原子力発電由来の電力を「環境にやさしいもの」と定義づけたことに問題を感じなくもないが)。

気になる充電施設だが、これまでに「足りなくて困る」という状況は起きていないと見ている。街の随所に設けられた高速充電スペースはいつも空いているし、ついには石油元売り大手のBPが、ガソリンスタンドの空きスペースを使って充電施設を設けるほどになっている。バッテリーの性能が上がり、航続距離が大幅に伸びていることも追い風となっている。

欧州では2000年代の後半以降、テスラの登場まで、「環境車といえば、トヨタのプリウス」という認識が一般的だった。その後、コンパクトカーの「ヤリス」が広まり、ハイブリッド車(HEV)が大きく市民権を得た。ヤリスは2021年の「ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞、高電圧(144V)のリチウムイオン電池(LIB)を搭載する本格的なHEVでもあることから、しっかりと顧客層をつかんだかに見えた。