秋田と千葉の3海域で始まる洋上風力発電で、いずれも三菱商事を中心とする企業グループが驚異的な安さで落札したことが話題を集めている。「EnergyShift」発行人の前田雄大さんは「『価格破壊』が起きた背景には、GEやアマゾンといった米国企業の存在がある」という——。
海上に並ぶ多数の風力タービン
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1kWあたり11円台という「価格破壊」が起きた

脱炭素の切り札ともいわれる「洋上風力発電」をめぐり、業界関係者を驚かせるニュースがあった。

昨年12月末、政府が3つの海域(①秋田県能代市・三種町及び男鹿市沖、②秋田県由利本荘市沖、③千葉県銚子市沖)で公募していた洋上風力発電事業で、3事業とも三菱商事の企業グループが落札したのだ。

しかも、その落札価格は「価格破壊」と言えるほど廉価だった。

経済産業省の発表資料によると、三菱商事を中心とする企業グループは、千葉県銚子沖の案件は1kWあたり16円台、秋田県由利本荘市沖は1kWあたり11円台で入札した。

これがどれだけ安いのかは、先行する太陽光発電と比べると分かりやすい。

太陽光発電の価格は、固定買取制度の導入から10年が経ち、ようやく1kWあたり11円台をつけた。洋上風力について何段も飛ばして三菱商事側が驚異的なレベルでコストを下げてきたというのが分かる。