「精神科」と「心療内科」の違い

では精神科と心療内科、どちらに行けばいいのでしょうか。

実は精神科と心療内科は、厳密にいえば学問的な違いがあるものの、病院を選ぶときには違いを気にする必要はまったくありません。精神科医は、夜眠れない、不安、落ち込みがひどい、といった精神的なものを診ますが、心療内科医は精神的なものからくる頭痛や吐き気、耳鳴り、動悸などの体の症状を診るということになっています。そういった違いはありますが、当然ながら精神科医も不安からくる動悸など、精神的な原因による体の症状も診るので、患者からみると大きな違いはありません。

「○○精神科」「○○心療内科」「○○心のクリニック」など、医者が看板を掲げることを「標榜」といいますが、医者の世界では患者を勘違いさせたり誤解させたりすることがなければ、どのように標榜してもいいことになっています。つまり「精神科医は精神科」「心療内科医は心療内科」と標榜しないといけないという決まりはないのです。ですから「○○心のクリニック」といった名前の病院もよく目にします。「○○心療内科」という名前でも、担当の医師が精神科医であるのは、よくあることです。ですから、病院を選ぶときには、そうした表現の違いは、あまり気にする必要はないでしょう。

ちなみに、精神科医と心療内科医の数を比べてみると、圧倒的に多いのは精神科医です。精神科の専門医の数は、2022年1月現在で1万2293人(日本精神神経学会)。それに対して心療内科の専門医は、2021年10月現在で113人です(日本心療内科学会)。精神科専門医であって心療内科専門医ではない人はたくさんいますが、心療内科専門医であって精神科専門医でない人はほとんどいません。精神科か、心療内科か、と悩む必要はほとんどないのです。

カウンセラーは相性のよさを重視

精神科の受診時間は、どれだけ長くても10分程度と短時間です。ただ、もっと話を聞いてもらいたい人や、「自分を責めがち」「ストレスへの対処方法がわからない」など、ものごとのとらえ方や考え方のくせを変えることで不調を改善したい場合などは、精神科の治療と並行してカウンセリングを受けると効果が出ることがあります。自分で判断するのは難しいですが、精神科で勧められることがあります。精神科に併設されていることも多いです。

多くの場合、カウンセリングは、公認心理士や臨床心理士といった一定の資格を持った人たちが担当します。患者さんにとっては、精神科医以上に接する時間が長いため、相性が大事です。もし、担当のカウンセラーと相性が合わないと思ったら、別のカウンセラーを試してみるとよいでしょう。

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