「気分転換不足」という新たなストレス源

2つめは、コロナ禍新社会人たちにとって、ストレスやメンタル不調の原因は、仕事の質や量、または職場の人間関係(一般的には上司がストレス)よりも、気分転換不足と思えるものが多かったことです。

ワンルームマンション等狭い自宅で仕事をし、気分転換等も意識しないでいると、知らず知らずのうちに気分が塞ぎ込んできてしまう。大学の同級生が他社で出社して仕事していると聞くと、自分は仕事の習得が遅れてしまうのではないかと不安になり、時に眠れなくなってしまう。同期と比較しても自分は仕事を学んでいる方なのか遅れている方なのか気になってしまう。このように、コロナ前にはなかったパターンの不安やストレスがあることが今年の産業医面談でだんだんわかってきました。

会社の近くに住み、家には「寝に帰るだけ」の予定が…

社会人になり一人暮らしを始めたBさんは、あえて会社の近くに住み仕事に没頭するつもりでした。寝るために帰るだけと思っていた一人暮らしの小さい部屋は、在宅勤務を続けるには狭すぎて、椅子や机等の家具もしょぼくて、この環境で1日中在宅勤務すると気分が暗くなってしまう。週末も同じ部屋で過ごしていると気分転換なんてない(でもコロナのため外出が怖くてできない)という相談には、私も同情するしかありませんでした。

彼女には、多くの先輩たちも社会人になると学生時代にやっていた趣味や気分転換が、時間がないことや友人たちとの時間が合わないとかでできなくなってしまうこと。その中で、社会人としても継続できるやり方や新しい趣味・気分転換を見つけられる人は、オンとオフのメリハリを上手につけていること、をお伝えしました。

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「職場に居場所が欲しい」所属意識を求めている

コロナ禍の新入社員に共通する点の3つめは、会社への所属意識(帰属意識?)をより求めている印象です。彼、彼女らは大学は卒業したものの、まだ自分はどこにも所属していないという寂しさを感じるのです。

「仕事は単なる仕事」としてドライに捉えているならばそれはそれでいいのかもしれませんが、コロナ禍の新入社員たちは、「もっと職場でつながりたい、職場に居場所が欲しい。でも、そう感じることができない」という気持ちのようです。

自分は職場で本当に必要とされているのだろうか。まだ仕事を覚えていないから必要とされていなくてもしょうがないが、いずれは必要とされるだろうという評価は得られているのだろうか。このような承認欲求が満たされてないのだと感じます。これはやはり、実際に対面で先輩や同僚たちと職場で長時間過ごしていると自然と生まれる職場での連帯感がコロナ禍の新入社員には生まれにくいことが原因かと感じます。