定年後の人間関係作りがうまくいかない人の特徴

このNさんの話からもわかりますが、会社人間から脱却して「自分の人生を取り戻す」ためには、「自分は一体何に不安を感じているのか」を知ることがとても重要です。その結果、「別に出世なんかしなくてもなんとかなる」と開き直ることができれば、不要なストレスからは解放されるはずです。

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ただ、ここで邪魔になるのが「勝った、負けた」という二元論的思考法です。出世レースに残ったほうが勝ち組で、そうでない人は負け組。その思想に縛られているうちは、いつまでたってもストレスから解放されません。

ただ、そんな勝ち負けはあくまで、あと10年もない会社員生活の間だけの話。その後の30年に関してはむしろ、「負けるが勝ち」とすら言えます。

例えば、出世レースに最後まで残った人は、どうも会社員時代の意識が捨て切れず、定年後の人間関係作りがうまくいかないケースが多いのです。一方、「失敗した人」「病気をした人」は、比較的すんなりとコミュニティに入っていける人が多いようです。

人間関係を縮める鉄板の話題は「失敗話」。そして「病気話」です。

「あのとき大失敗して役職外されちゃってさぁ」「ある日突然、天井がぐるぐる回って……」などという失敗談を面白おかしく語れる人は、すぐに周りと打ち解けることができるでしょう。

人生とは、勝ち負けの二元論では到底、理解できるものではないのです。

「やり切った感」がないと次に進めない

とはいえ、せっかく長い時間を費やしてきた仕事です。「やり切った」という思いを持って会社人生を終えられるかどうかは、その後の人生に大きな違いをもたらします。いわば「総仕上げ」をどうするか、という話です。

役職定年や出向になったあと、モチベーションが落ちたことでどうしても仕事をする気力が起きず、そのままダラダラと定年までの時間を過ごしてしまった……という後悔は、本当にいろいろな人から聞きます。やはり人は何かをやり切った充実感があればこそ、次に進めるのかもしれません。

では、何を「総仕上げ」とするのか。これはもちろん人それぞれです。会社からそういうお題を与えられているならいいのですが、多くの場合は自分自身で考え出す必要があるでしょう。

その代表的なものは、「現場の知恵の継承」です。マニュアルが存在していないような分野では、ここに大きなニーズがあります。