50代になると「仕事で何かを成し遂げなければ」という焦りを感じる人がいる。営業コンサルタントの大塚寿さんは「焦りの正体は『何をやっていいかわからない』という迷いだ。それを断ち切るためには、まず会社に尽くすことをやめるといい」という——。

※本稿は、大塚寿『50歳からは、「これ」しかやらない』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

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ビジネス人生の最終盤で感じる焦りの原因

多くの50代ビジネスパーソンと接してきて、つくづく感じることがあります。それは、50代になると誰もがみんな「焦り」に似た感情を持つようになる、ということです。

私自身もそうでした。50歳を迎えたあたりから、なぜかモヤモヤしたものをずっと抱えていました。それが「焦り」であることに気づいたのは、しばらくたってからのことです。

その「焦り」の根っこにあるのはおそらく、もうビジネス人生も最終盤だというのに「何も成し遂げていないのではないか」「もっとやるべきことがあったのではないか」という感情があるからではないでしょうか。

50代でそういった感情を持つのは、一つはもちろん残された時間の終わりが近づいている実感があるからでしょう。それに加えて、40代の頃は中間管理職として大量の仕事に忙殺されつつ、プライベートでも忙しい時期で、あまり考える余裕がなかった。50代になり、プライベートがひと段落し、役職的にもある意味「上がり」の状況に近づいたことで、ふと「自分の会社員人生はなんだったんだろう」と考える時間ができた。それが、焦りの原因なのではないでしょうか。

「仕事に打ち込む」では悩みは消えない

では、今以上に目の前の仕事に注力すればこの「焦り」から逃れられるかというと、少々疑問です。仕事には基本、終わりがありません。売上100億円を達成したら、次は200億円を目指したくなります。新製品の開発が成功したら、今度はそれをどう改良するかを考えるようになります。

私から見ればもう十分すぎるくらいに実績を上げているような人ですら、この「焦り」からは逃れられないようです。多くの経営者がなかなか後進に道を譲れないのも、これが原因と言えるでしょう。